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為替に関するまとめ

2012.07.31(Tue)

 最近に海外投資をしている方々は、円高の影響が厳しいです。2000年代前半から
2007年にかけて海外へ投資をしていた方は、円安の恩恵を大きく受けられたことと思
いますが、2008年のリーマンショック以降は、円高が激しく進み、海外投資自体の
パフォーマンスが(円高評価では)大きく既存している方も多いと思います。

 先日来、為替に関する本「弱い日本の強い円」(佐々木融)、「円高の正体」(安達誠司)
を読む機会もありましたし、ドイツ証券の田中泰輔氏、バークレズ銀行の山本雅文氏と為替
ストラテジストのお話を聞く機会もありましたので、投資家に必要な為替に関する理解をまと
めてお伝えしたいと思います。

1.為替の長期的な指標はPPP(購買力平価)
 
 為替に関して長期的に一番説明がつくのは、やはり購買力平価の理論です。

「購買力平価」とは、理論的に全く貿易障壁のない世界を想定すると、そこでは国が異なっ
ても、同じ製品の価格は一つであるという「一物一価の法則」が成り立ちます。この法則が
成り立つ時の二国間の為替相場を購買力平価と言います。

 長期的にグラフを確認してみると「購買力平価」説には一定の説得力があることが良く
わかります。

(グラフ確認は国際通貨研究所で発表しているものをオススメします)

【購買力平価のグラフ】

 購買力平価説を基に考えれば、日本では近年デフレで物価が上がらない(下がってしまう)
現象が続いていますので、デフレから脱却をしない限り、日本円は上がり続けていくことに
なってしまいます。

 つまり、「デフレの継続=円高の継続」という構図になります。

2.為替の中期的な指標は2年物国債金利のスプレッド

 購買力平価が「一物一価」というモノを中心とした考え方であれば、中期的な為替の変動
要因は「金融」を原因とする考え方になります。

 つまり金融の世界では、「金利」が高い国に資本が移動するという考え方から、為替の中
期的な変動要因は各国の金利差で説明がつくと言う考え方です。

 実際には説明として、各国2年物国債金利が指標に使われることが多く、その金利差で為替
の変動がある程度説明できます。

 例えば米ドル/円を取って考えると、現在の米国の2年国債金利が0.23%、日本は0.1%でその
差はほとんどありません。
  
 これが2000~2007年の頃の円安時には、金利差が3%近く存在しました。この金利差が縮まっ
て行く過程の中で最近の円高が生じていると考えられます。


3.今後の為替の行方は?

 最後に結論としての為替の行方です。日本の現状では金利も物価も大きく上昇することは
当面想定されていません。
 従って為替は、想定的に海外の金利動向と物価の推移に依存することになります。

 特に指標としても影響の大きい米ドルのばあいには、米国の景気回復状況によって金利が
正常化していくかどうかが中期的な為替変動のカギになります。

 2012年は想定よりも米国経済は回復がもたついておりますが、それでもなお日本よりは回
復のスピードも速く推移しています。

 FRBは2014年までの金利低利据え置きをアナウンスしていますが、実体経済に回復が見
られればそれ以前の金利引き上げも考えられます。

 つまり、日本の状態が変化しないことを前提にすれば、2014年にかけてじわじわと円安が
進んでいく状態になることが推測できます。

 しかし、一方長期的な購買力平価で考えてみると、日本の物価が上がらない限り長期的な
円高傾向は変わらないことになります。

 中期的には、円安方向に進みながらも長期的には円高が継続するという展開をベースにこ
こ数年の海外投資を検討していくのが妥当でしょう。 

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前回久々にお伝えしたのは、主宰する投資クラブで購入を決めたナカニシについて
の情報でした。
 今回は検討中銘柄(ウォッチ銘柄)としているNTTドコモについてです。

 NTTドコモを知らない方はいないでしょう。日本を代表する会社でもある携帯電話
キャリアです。

 最近はiPhoneを擁するソフトバンク、auに押されがちではありますが、その一方で
ドコモには割安感があるのではないかと思ってウォッチしています。

 それではいつもの条件を確認してみましょう。

【投資クラブで購入検討に値する会社の条件】

・売上に対する粗利益率、当期利益率が高い会社
 
・財務的に安定している会社
 
・ROEが高い会社
 
・多額の設備投資が必要でない会社

の4か条です。

 こちらの条件をドコモで確認していきましょう。数字は全て2012年3月期の決算資料を
参考にしています。

・売上に対する粗利益率、当期利益率が高い会社

 ドコモの売上は4兆2,400億円です。売り上げ規模だけで日本でもトップクラスである
ことが想像できます。
 これに対する原価を除いた粗利益が2兆6,510億円。粗利益率は約62.5%です。


 ドコモの場合の原価とは主に、通信設備の保守管理費用、他のキャリアの設備利用料
(他のキャリアの通信機器を利用した場合)及び携帯端末の仕入れ原価になります。

 こうした原価を除いて粗利益率が60%以上あるのは、携帯キャリアはかなり粗利の良い
商売であると言えそうです。

 ちなみにソフトバンクモバイルは営業収益1兆2,700億円に対して、営業利益は2,590億円で
営業利益率20.4%、auはKDDIは固定電話も扱っているので一概に単純比較はできませんが
営業収益2兆3,940億円に対して営業利益は4,776億円で営業利益率19.9%です。

 ドコモは営業利益が8,740億円で営業利益率は20.6%でそれぞれ3社とも大きく変わりません。


 ドコモ当期純利益は4,600億円。当期純利益率は10.8%です。
 これもソフトバンクモバイル、KDDIはそれぞれ、13.7%、10.0%です。ソフトバンクモバイル
が多少収益率では上回っているようです。

 
・財務的に安定している会社

 財務内容はドコモに関しては文句がありません。自己資本比率は72.8%と非常に厚く、
キャッシュフローも潤沢です。
 
 ちなみにソフトバンクモバイル、KDDIの自己資本比率はそれぞれ35.4%、53.2%とドコモと
比較するとやや劣ります。

 
・ROEが高い会社

 先程述べた、財務内容が良い会社の場合には、財務レバレッジがかかりませんので高い
ROEを計上することは困難になります。

 しかし、ドコモは自己資本比率が高い状態であってもROEは11.4%です。自己資本比率
が高い状態でROEを高く保っていることには好感が持てます。
 
 ソフトバンクモバイル、KDDIはそれぞれ15.21%、12.0%とドコモよりも高い数字ですが
これは財務レバレッジの関係上ドコモよりも大きく出ているものと考えられます。
 
 財務内容とROEのバランスで言えば、ドコモは十分に合格点をあげられます。


・多額の設備投資が必要でない会社

 携帯電話キャリアという分野は、参入時に非常に高額な設備投資が必要なために参入が限られた
業界です。
 営業開始後も、継続的な技術開発と設備投資が必要な産業であるともいえます。

 しかし、その設備投資をキャッシュフロー表から見てみると営業キャッシュフローが1兆1,100億円
の黒字の中で有形固定資産や無形固定資産に対する投資は7,200億円程度でほぼ借り入れが必要なく
自己資金の中からの投資で間に合っている状況です。
 
 その他、携帯電話関連の事業に投資をしているようですが、それについての評価は現段階では難しい
と考えています。

【株価】

 現在の株価は134,000円で、PER10.41倍(予想)PBR1.1倍(実績)配当利回り4.48%(予想)
です。今後の成長性は問われるものの、配当利回りから見ても十分に検討できる水準にあります。

 実際に投資を検討するに当たっては、財務内容だけでは判断できず、

ドコモがこれからスマートフォン市場でどの程度のシェアを獲得できるのか?
 ARPU(一契約当りの月間平均収入)がキャリア各社で低下している中で、データ通信を中心に
そのように維持回復をしていくのか?

といった経営戦略的な面を検討しなければなりませんが、少なくとも購入対象検討銘柄としては十分
な水準にある銘柄だと言えると思います。

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「世代会計」の概論

2012.07.13(Fri)

昨日の勉強会では、世代会計を中心にお話させていただきました。

大変残念であったのは、士業(弁護士、税理士、社会保険労務士、FP)の方々が多い勉強会であったにもかかわらず

「世代会計」の議論をご存じであったのが一人しかいなかったこと。
(日本人は恥ずかしがり屋なので、知っていたけど手を挙げなかった人もいると思いますが)

講義中、この現実にかる~くショックを受けてしまいました。

今後の年金や社会保障、そして租税の議論の中で今後この世代会計を中心とする「世代間格差、世代間闘争」の観点無くして、議論はできません。

社会で大きな影響力を持つであろう、こうした士業の方々にはよく理解しておいてほしいものです。

そこで、お勧めは内閣府で立ち上げた「世代会計専門チーム」の議論と資料

特に、第1回目の増島氏のプレゼンテーション資料は、この「世代会計」の論点を理解するには秀逸な資料だと思います。



若年層や将来(我々の子供)世代に負担を先送りするようなことの無いように考えていきたいものです。

世代会計.jpg
画像は増沢氏資料のP12から抜粋

この問題は、こうした受益が多い層(既得利益層)が、人口構成的には多数派と言うことろが、なかなか現在の政治では解決できない問題になっている事です。

こうした意見に関しては、最近発売された冨山和彦さん(高校の先輩です)の新著「30代が覇権を握る!日本経済」
が同じ問題意識でかかれています。

私も昨日、一昨日で読みましたが、冨山さんほど楽観的には見ていません。

結局、家庭内で親と世代間格差を埋める努力をする必要があると言うのが私の考えです。

それはこの本で書きました。

良ければ読んでみてください。

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 今回お伝えするのは、昨年いくつかご紹介した私の主宰している投資クラブ
での最新検討銘柄情報です。

 購入を決定したのはナカニシ(7716 ジャスダック)です。

 ナカニシは歯医者で利用する治療用のドリルを製造しているメーカーです。
世界でもトップブランドの一つであり、日本だけではなく欧米アジアなどの
広いエリアで利用されています。

 最近では、この歯科用ドリル製造の技術を生かしてスマートフォン用の工作機器
等も成長しています。

 ここで投資クラブで銘柄を選ぶときの基準について再度確認します。 

【投資クラブで購入検討に値する会社の条件】

・売上に対する粗利益率、当期利益率が高い会社
 
・財務的に安定している会社
 
・ROEが高い会社
 
・多額の設備投資が必要でない会社

の4か条です。

 こちらの条件をナカニシで確認していきましょう。数字は全て2011年12月期の
決算資料を参考にしています。

・売上に対する粗利益率、当期利益率が高い会社

ナカニシの打ち上げは222億円です。
これに対する売上総利益は135億円と粗利益率61%になります。

 日本の製造業の粗利益率は20~30%のところが大部分です。このなかで粗利益率61%を
誇るところが、ナカニシの一番の強みです。
 つまり高付加価値な製品製造を行っていると考えられます。

 当期純利益は47億円。当期純利益率は21%にもなります。中小製造企業の平均は1~2%
ですので、平均的な製造業の10倍を稼いでいることになります。
 
 ちなみにトヨタ自動車でも2012年3月の数字では粗利益率10%、当期利益率1.6%程度です。

 
・財務的に安定している会社

 ナカニシは財務的にも全く問題がありません。
 自己資本比率は91%と大変に厚く、負債の内容も最低限の買掛金や未払い金がメインで
銀行からの借り入れもほとんど無い状態です。

 そもそも負債が36億円な一方で現預金が122億円ありますので、実質的には無借金経営
を達成している状態にあります。

 営業キャッシュフローも51億円と潤沢で、まさに財務的には非の打ちどころがありません。

 
・ROEが高い会社

 先程述べた、財務内容が良い会社の場合には、財務レバレッジがかかりませんので高い
ROEを計上することは困難になります。

 しかし、ナカニシではそもそも事業の収益性が非常に高いために自己資本比率が高い状態
であってもROEは12.5%と10%を優に超えます。

 こちらも日本の製造業としては異例な高さと言えます。


・多額の設備投資が必要でない会社

 多くの製造業では、先行投資となる技術開発や製造設備に対する投資が必要です。特に
競争の激しい業界では、この先行投資の費用に耐えられずに市場から退出していく企業も
少なくありません。

 ここの所破綻が目につく、日本の半導体メーカーも同様でした。

 ナカニシでは営業キャッシュフローが51億円の黒字に対して、投資キャッシュフローは
31億円の赤字な状態です。
 投資の内訳を見てみると有形固定資産の取得が11億円で残りは有価投資証券や金銭信託
に対する投資となっています。

 前年度の有形固定資産の取得も同じく11億円ですので、それほど多額の設備投資が必要な
状況ではないと考えられます。

 以上の条件を鑑みて、今回購入の検討に至ったわけですが、それでも株価と言うものは
非常に大事なポイントになります。

 現在の株価は8,200円で、PER10.52倍(実績)PBR1.42倍(実績)配当利回り1.22%(実績)
です。成長性は問われるものの、この収益率と財務内容では非常に安い会社であると言えます。

 正直なところ配当金はもう少し多くても良いと思うのですが、自社株買いなども進めているので
株主に対する意識は強い会社です。

 株価は10年で約2倍になっていますので、今後も10年で倍になるイメージで保有できる銘柄だと
思います。

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株式会社マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

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