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東洋経済Onlineでの連載最終回です。

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教育投資自分を優先するべき 

 ファイナンシャルプランナーとして若いご夫婦のおカネの相談にのっていると、お子さんの「習い事」におカネをかけ過ぎているケースに出会うことがあります。生活がカツカツなのにピアノやスイミングを習わせて、結果として貯金がほとんどできていない、というケースです。

 僕は、こういったご家庭を見るにつけ、「教育費をかける順番が間違っている」と感じてしまいます。特に若いご夫婦では、教育費を優先してかけるべきなのは、自分たちです。

 経済学では、個々人の持つ資本を「金融資本」と「人的資本」に分けて物事を考えます。 金融資本というのは、すでに貯めた貯蓄や、保有している株式、債券、投資信託などに加えて、不動産など換金可能な資本のことです。

 一方の人的資本というのは、それぞれの人間が退職するまでに稼げるお金のことを指しています。たとえば、今25歳の人が65歳で退職するまでの40年間、毎年500万円稼ぐとすると、トータルの収入は2億円になりますが、単純に考えればこの2億円がこの人の人的資本だと考えるのです。

 20代や30代の若いころは、資産全体に占める人的資本の比率が圧倒的に高いのが一般的で、自分自身という人的資本をうまく活用し、そこからいかに富を生みだすかが、将来、経済的に豊かになるための鍵になります。

 逆に50代、60代になって、働いて稼げる時間が残り少なくなってくると、人的資本より金融資本が多くなるのが一般的です。その際には、自分の金融資本をいかにうまく運用するかが重要になります。

自分自身に対して優先的に教育費をかけるということは、まさに自分の人的資本の価値を上げる、または利回りを増やすための行動で、子供が小さい、またはこれから子供を作ろうとしている若い世代にとっては、きわめて理にかなった行動なのです。

 

親世代が子供の教育におカネをかけられた理由

こういう話をすると、

「ピアノを習わせているのは情操教育のためで、おカネの問題ではない」

「水泳もできないと、学校で肩身の狭い思いをしてかわいそうだ」

という言葉が聞こえてきそうですね。僕は別に、お子さんにピアノや水泳を習わせること自体を否定しているわけではありません。

 今でさえカツカツの生活をしているご家庭で、お子さんの将来の教育資金も貯められない状況なのに、お子さんの習い事にお金を使うのはおかしいということを指摘したいだけです。

 まずは親である自分たちの教育に投資をして、人的資本の価値を上げる、すなわち稼げるようになることが先決です。そうして、お子さんの教育資金や自分たちの老後資金を貯えられるようになってから、水泳でもピアノでも、好きなものをやらせてあげてください。

 確かに、僕たちの親世代には教育熱心な人が多く、色々な習い事をさせてもらったという人も多いでしょう。だから、自分が親からしてもらった以上のことを、子供にしてあげたいという気持ちは、わからなくはありません。

しかし、彼らが子供の教育におカネをかけ、なおかつ老後も安定した生活を送れているのは、①賃金が年々上昇し、②年金が(僕たち世代がもらえると思われる額よりは)多いという、2つの理由によります。

 僕たち世代は、これまでのような昇給は望めません。また、年金も(破綻しないとは思いますが)受け取れる額は確実に減少するでしょう。こんな時代を生きる僕たちは、お金をかける順番を間違えてはいけません。お子さんが大きくなればなるほど、教育費を貯めていくのは非常に困難になってしまい、結局、いちばんおカネがかかる大学進学あたりで、教育費を捻出できないことにもなりかねないのです。

 

おカネを貯めやすいのは、新婚から子供が生まれるまで

 下の図は、一般的なご家庭における貯金の推移を示したイメージ図です。

金融資産の推移.jpg


結婚してから子供が生まれるまでは、2人で生活することで家賃や光熱費が節約できる一方、共働きのご家庭が多いので、貯金がどんどん貯まります。第1回でお伝えした「支出だけ専業主婦家庭戦略」をとれば、わずか数年で1000万円をためることも十分可能です。

 その後、子供が生まれると、専業主婦家庭では収入が大幅に減りますし、共働きでも、保育園の費用などがかかるようになります。

子供が就学すると、さらに教育費がかかるようになり、おカネは貯まりにくくなってきます。公立か私立かでも変わってきますが、その額は皆さんが思っている以上に高くなります。

 お子さんが大学(私立中学・高校)に進学すると、おカネは貯まるどころか、貯金を切り崩さなければならなくなることもあります。ここで資金がショートすると、教育ローンや奨学金などを借りることになります。

晴れて子供が大学を卒業してから、ご自身が定年退職までの時期が、人生2度目のおカネを貯めやすい時期で、ここでの貯金が、老後の生活資金となります。この時期にリストラにあったりすると、十分な貯蓄ができず、老後が厳しい、なんてことにもなりかねません。

これが、一般的なご家庭の、貯金の予想図です。ですから、できれば子供のいないうちから、遅くとも子供が十分に小さいうちに貯金を始めるとともに、自分の人的資本を増やすことを心掛けて、来るべき高校・大学入学に備えなければならないのです。

 

親が勉強する姿を見せるのが、一番の教育

最後に、僕が「教育投資は自分を優先すべき」と考える、もうひとつの理由をご説明します。僕は、親自身が日々勉強している姿を子供に見せることが、何よりの教育なのではないかと考えています。

あくまで個人的な印象なのですが、知り合いのご家庭などを見ていると、お医者さんや弁護士さんなど、いわゆるプロフェッショナルと呼ばれる職業につかれている人のお子さんには、勉強ができる子が多いように感じています(もちろん例外もたくさんあり、会社員や自営業者のお子さんにも優秀な子がたくさんいるのは承知しています)。

お医者さんにしても、弁護士さんにしても、難しい試験をパスされて資格を取得されているので、もともと親御さん自身が優秀で、その遺伝子を受け継いでいるから、お子さんも勉強ができるという側面もあるとは思います。しかし、それ以上に、親御さんの家での姿勢が重要なのではないかと思うのです。

お医者さんの場合、治療法は日進月歩なので、自ら研鑽を積んで知識をアップデートしていかなければいけません。弁護士さんの場合も同様で、法律はどんどん変化するので、日常業務をこなしながらも、自ら勉強して変化に対応しなくては商売になりません。そのため、これらプロフェッショナルな仕事につかれている人たちは、家に帰ってからも日々勉強を欠かさないのです。

家に帰ってからも机に向かい、日々勉強を重ねている。そんな親の姿を見ていれば、子供も自ら勉強することに興味を抱きやすくなるのではないかと思うのです。

一方、家ではまったく勉強するそぶりを見せない親御さんの場合、子供からしてみれば、自分たちにばかり「勉強しろ! 勉強しろ!」という不合理なことをいう、ウザったい存在に見えてしまっても仕方ありません。

もちろん、ストレスの多い会社から帰ってきたら、リラックスしたいのもわかりますし、それがいけないという気は毛頭ありません。ただ、家で自分自身のスキルアップにつながる勉強をすれば、それを見た子供にもいい影響が出るのではないかと言いたいのです。

年功序列で、スキルや能力が上がらなくても給料が増えた親世代の時代とは違い、今はもう同一の仕事に対する報酬は同一なのが当たり前の時代です。

どんな仕事についていたとしても、日々上を目指して努力を重ねなくてはいけないのですから、お子さんのいいお手本になるという意味でも、家で勉強するのは一石二鳥なのではと思うのですが、いかがでしょうか?


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先週に引き続き東洋経済Online第3弾

記事内容を一部ご紹介します。

リスク分類には4つの種類がある

いきなりですが、質問です。そもそも保険とは、何のために必要なのでしょうか?

 「そんなの、もしものことに備えるために決まっているではないか」

 そうですよね。では、備えなくてはいけない「もしものこと」とは、どんなことでしょう? 事故、自然災害、怪我・病気などなど、いろいろと思いつくと思いますが、実は、これらの「もしものこと」には、保険をかけるべきものと、そうでないものがあるのです。

 下の図をご覧ください。これは、リスクマネジメントの教科書にはかならず載っている図で、備えるべき「もしものこと」、すなわちリスクを、起こる頻度とダメージの大きさで分類し、それぞれの対処法を示したものです。

リスク.jpg


 リスクマネジメントの世界では、それぞれのリスクに対して、取るべき対処法を以下のように考えます。

 まずは、頻繁に起きるし、起きたときのダメージも大きいA型に対しては、そのリスクを「回避」するのが、正しい対処法だとされています。たとえば、雨が降るたびに裏山が崩れて、その都度、家に大きな損害が生じてしまうような場合(現実にはあまりありえない状況ですが)、安全な場所に引っ越したり、土砂よけの強靭な壁を作って、土砂崩れが起きても家に被害が及ばないようにするなど、リスクそのものから逃れる術を講じるのが正しい対処の方法になります。

 次に、頻度は少ないけれど、一度起きてしまうと大きなダメージが生じるB型のリスクの場合ですが、このタイプのリスクに対しては、「保険」をかけておくのが正しい対処法だとされています。たとえば、火事で家が燃えてしまうということは、人生の中でそんなに何度も経験することはありませんが、一度でも起きてしまうと数千万円レベルの損失が生じてしまいます。こういったリスクに対しては、保険をかけておき、損害を補償するようにするべきで、多くのご家庭が火災保険に入っているのはそのためです。

次に、頻繁に起きるけれどダメージがさほど大きくないC型は、「防止」する、すなわち、なるべくそのリスクが起きないようにするのが、リスクマネジメントの王道の考え方です。C型のリスクに対しては、保険は適切な対処法ではありません。

 最後に、起きる頻度が少なく、また、起こったところでダメージも少ないD型は、要はたいしたことのないリスクなので、これに関しては何もせずに、リスクはリスクとしてそのまま「保有」するのが正しいとされています。

 

サラリーマンに医療保険は必要ない

 では、「病気」というリスクは、A型からD型のうち、どこに該当するのでしょうか。B型だと思った方、残念ですが間違いです。実は病気は、日本のサラリーマンにとってはC型、すなわち保険をかけるのではなく、「防止」するのが正しい対処法なのです。

 「いや、ガンみたいに重大な病気は、ダメージが大きいはずだ」と思われた方。たしかに、ガンのような重大な病気は、身体に対するダメージは非常に大きいです。だから、医療保険に入ることで病気になる可能性が減るというのであれば、ぜひとも医療保険に入るべきです。

 でも、医療保険で補償されるのは、あくまでも「おカネ」です。そして、おカネのダメージの面から言えば、日本のサラリーマンは知らない間にすでに手厚い保険に守られているので、これ以上、医療保険をかける必要などないのです。

 たとえば、病気や怪我で何日間か会社を休まなくてはならなくなった場合、当初の3日間の保障はありませんが、4日目以降は標準報酬月額の3分の2が支給されるように保障されています(標準報酬月額というのは、基本給など報酬から「臨時的に支払われるもの」を除いた部分をいいます)。これが傷病手当金です。

 傷病手当金は、最長1年半支給されます。つまり、大きな病気をして何カ月も会社を休まなくてはいけなくなったとしても、従業員が経済的な苦境に陥らないように、制度として確立されているのです。

 

医療費にはキャップがかかっている

 「給料に代わって手当てが出るからといって、治療費がかかるから、やはり経済的には不安だ」と感じる人もいるかもしれませんが、その点は「高額療養費制度」が守ってくれています。「高額療養費制度」というのは、簡単にいうと、1カ月に負担しなくてはいけない治療費の上限を決めている制度です。

 月々の上限負担額は、右の図のように所得区分によって異なります。

たとえば、月収53万円以上の上位取得者の人が、ある病気の治療で300万円かかった場合、本人の負担がいくらになるかと計算してみましょう。まず、治療費の300万円から50万円引くと250万円。その1%である2万5000円に、ベースとなる15万円を加えた175000円が、この場合の月額負担の上限です。

 同じ治療を一般区分の人が受けた場合も計算すると、107430円。低所者区分の人の場合はそもそも上限が35400円ですので、そのままです。

 このように、仮に重い病気にかかり、3カ月間、毎月300万円の治療費がかかる治療を受けたとしても、総額の負担は上位所得者で50万円ちょっと、一般の人で30万円強、低所得者の人の場合、10万円強の負担ですんでしまうのです。

 この程度の負担であれば、ある程度の預貯金があれば普通に払えてしまいますので、わざわざ月に何千円か支払って、医療保険に加入する必要はないのです。

 もし、この程度の支払いができないくらい家計が厳しいのだとしたら、そっちのほうがよっぽど問題ですので、まずは生活全般を見直すところから始めるべきなのです。


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先週に引き続き、東洋経済online連載第2弾

意外と反響(賛否もろもろですが)を頂いているようで嬉しい限りです。

一部ご紹介します。

マイホーム購入が「当たり前」の時代もあった

 

僕たちの親世代に当たる団塊世代の持ち家比率は、なんと86.2%。マイホームを買うことはまさに「当たり前」の行動でした。

 

実際、親世代がマイホームを買った当時は、今よりも不動産価格が低く、また日本自体が経済発展の最中にあったため、不動産価格は年々上昇していました。「土地神話」なんて言われていたとおり、仮に売却することになっても、買ったときより高く売れると信じられていたのです。

 

こういう環境では、マイホームを買うのが「当たり前」というのは、きわめて合理的です。2000万円のマイホームを買って何年か住み、3000万円で売れるのであれば、買わない理由はまったく見当たりません。

 

そんな時代の「当たり前」から抜け出せていないからか、子供世代の僕たちにも「家を買え」と強くすすめる親御さんが多くいます。また、僕たち世代の中にも「一国一城の主には、持ち家は不可欠だ」と信じて疑わない人が大勢います。僕のところに相談にくるお客さんの中にも、「マイホームを買わない」という選択肢を最初から持っていない方が多くいらっしゃいます。

 

ですが、残念ながら時代は変わりました。もうすでに、不動産を買値よりも高く売るなんてことがほぼ不可能だということは、ご理解いただけるでしょう。僕たち世代は、「マイホームを買うか、賃貸に住むか」を真剣に検討しなければならないのです。これが、僕たち世代の「当たり前」なのです。

 

マイホームと賃貸、どっちが得?

 

こういう話をすると、多くの方が「じゃあ結局、マイホームを買うのと賃貸では、どっちが得なの?」と聞いてこられます。確かに、気になりますよね。どっちが得なんでしょうか?

 

期待を裏切るようで心苦しいのですが、この問いに対する僕自身の回答は「ケースバイケース」。つまらない答えですが、買おうとしている物件と借りようとしている物件の条件、お客様の資産状況やどれくらいリスクを取りたいのか、などがわからなければ、無責任なことはとても言えません。

 

では、ファイナンシャルプランナーとして何も言えないかというと、そんなことはありません。「損か得か」以上に、皆さんに知っておいてほしいことがあります。それは、「マイホーム購入は人生最大のギャンブル、賃貸はたんなる消費」ということです。どういうことか、詳しく説明していきましょう。

 

マイホーム購入は人生最大のギャンブル

 

FX取引をご存じでしょうか。手元資金が100万円しかなくても、たとえば10倍の1000万円までの取引ができる「レバレッジ」を効かせた投資として、個人投資家の間で人気となりました。

 

では、みなさん、実際にFX取引をやっていますか?やっていらっしゃる方は、10倍ものレバレッジをかけて、取引をしていますか?

 

おそらく、多くの方の答えは「やっていない」でしょう。日本人はアメリカ人などと比べ、投資のリスクに対して回避的です。「レバレッジ10倍=危ない」と思われるのではないでしょうか。

 

実は、マイホームの購入は、購入する物件の10分の1の頭金を用意すれば、その10倍の値段の家を買えるという意味で、レバレッジを効かせた投資以外の何ものでもありません。

 

手元資金よりも大きな買い物ができるので、うまくいけば大きな資産を作るチャンスです。ですが、レバレッジが効いている分、損をするときの傷も大きくなってしまうという問題がつねにつきまといます。

 

親世代のときは、不動産価格が上がり続けていたので、比較的勝つ確率の高い投資でした。でも、今は状況が一変しました。

 

住宅購入層の人口は減少し続けている反面、住宅建設は止まっていないので、1世帯当たりの住宅数はすでに1.15戸に達しています(総務省統計局「住宅・土地統計調査」より)。1世帯が1戸の住宅に入居するとしたら、全体の15%が空き家になっているのです。値上がりを期待するは難しいでしょう。

 

さらに、転勤やリストラでマイホームを手放さなければならないリスクも、親世代のときと比べて増えました。隣人トラブルに巻き込まれれば、ずっとそこに住むのは大変ですし、いざ売ろうとしても簡単に買い手は見つからないでしょう。東日本大震災を受けて、災害によってマイホームが壊れてしまうリスクも、強く意識されるようになっています。

 

こんな状況ですから、親世代のときと比べて、マイホーム投資は勝つのがとても難しくなっています。まさに、「マイホーム購入は人生最大のギャンブル」と言っていいでしょう。マイホームを買うときは、これらのリスクをすべて引き受ける覚悟を持って、しっかりと「負けない工夫」をするように心掛けてください。


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株式会社マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

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