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日経ヴェリタスの連載最終回です。お金を使う話は難しい。


連載最終回は、お金の「使い方」についてです。ここまで3回の連載で老後の準備や自分にどれだけのお金があれば老後は安心して暮らせるのかといった、主に貯蓄・運用面での話を展開してきました。具体的な計算方法などもご紹介してきましたので読者の皆さんは「自分」の老後の資金が足りているかどうかの目安ぐらいは付いてきたのではないかと思います。その中で「どうやら、うちの家庭は年金とこれまでの資産で老後は何とかなりそうだ」と思った方向けの話題です。


実はこうした家庭では、現役時代に倹約し、計画的に資産形成してきたからこそ、老後の心配が無いわけですが、このような方々は逆に老後お金を「使う」ことにとても心理的なハードルがあります。そのせいもあってか、グラフを見ていただくとわかる通り、日本では高齢者の方々がほとんどの金融資産を持っていることがわかります。


作家の邱永漢は「お金は稼いで半製品、使って初めて完成品」と言っていましたが、見ていると老後に自分の資産をきちんと使い切れずに亡くなってしまう人が多いのもまた事実です。お金はいくら稼いだり増やしたりしたところで、あの世には持っていけませんから、自分の生きている間に楽しく、有効に使うと言う事は老後のお金に関する大きなテーマの一つです。

 

老後は年金収入では生活費に足りないために、貯蓄を取り崩していくのが一般的なのですが、ごくまれに年金に恵まれている家庭や倹約質素な家庭では年金収入>毎月の生活費となっている家庭もみかけます。これでは老後の資産は増えていく一方です。公的年金のような終身で支給される年金よりも支出レベルが下回っている場合には、もう少し積極的に消費することを考えて良いでしょう。


お金を使う場合には、老後のお金の「使い方」には大きく①消費②投資③贈与の3つがあります。①の消費は言うまでもないでしょう。倹約が身に付いて自分のためにはあまりお金を使えないタイプは、まずは人の為にお金を消費することから始めてみると良いでしょう。人を食事に招待したり、プレゼントをするなど人を喜ばせるためにお金を消費することには自分の為にお金を使う事よりも罪悪感が無いと思います。


②「投資」というのもお金に余裕がある場合には有意義なお金の使い方です。「投資」というのはお金を増やす目的だと思われるでしょうが、本来は自分が使わない資金を他人が利用できるように融通するのが投資です。自分の代わりに社会の為に役に立つ事業を展開している会社に「投資」する。子供が住宅購入する際に銀行の代わりに「貸付」する。など少し儲けることから離れて考えれば身の回りに「投資」する環境は結構あります。


③「贈与」というのは主に子供や孫など親族を中心に行われるのが一般的ですが、必ずしも親族に限る必要はありません。知人友人にプレゼントをすると言うのも「贈与」に近い形態ですし、自分が参加するNPO法人や団体サークルなどに寄付をすると言うのも大きな意味合いでは「贈与」だと考えられます。特に来年以降は相続税が増税されることもあり、多額のお金を残しておいたとしても、子供たちは相続税の心配をしなければならないと言う事になってしまいます。それであれば老後はこれまでお世話になった方や、将来世代を担う子供たちにお金を渡して有効に使ってもらった方が良いに決まっています。


世間では昨年から始まった1500万円まで贈与税が無税になる「教育資金の一括贈与」の利用が人気のようですが、よほど早期に財産移転を進めたい場合以外は、個人的にはあまりお勧めできません。それよりも贈与に関しては毎年1名当り110万円までは無税で移転ができますので、毎年複数名の方に贈与を進めていく方が資金使途も自由になるので使い勝手が良いです。


幸いにして老後にお金の心配をしなくてもすみそうな方は、お金の使い方「消費」「投資」「贈与」について検討してみてください。

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ヴェリタス記事の3週目です

今回は退職後の資産運用について考えます。

定年退職をした方々の中には、退職金を受け取って初めて、これまで現役生活では経験をしなかったほどのまとまった金融資産を手にする方もいます。

そこで、まとまった「退職金」を運用するべく、最初に銀行や証券会社に相談しに行くといったケースが後を絶ちません。しかしそれはあまり賢明な順番とは言えません。


前2回の連載でも述べてきたとおり、「老後」の資産運用はあくまで「老後」の生活費に不足する部分を補うために必要な程度を運用するということが一番大事なポイントです。


そのためには、これまで学んできたように


「自分」は老後どの程度資金が必要なのか?


年金生活だけではどの程度不足するのか?


といったことをまず検討する必要があります。


例えば、第1回目の連載で学んだように、65歳以降年金収入だけでは生活費として年間70万円の資金が不足するようであれば、90歳まで生活すると仮定して、70万円×25年間=1750万円の資金が必要であると計算できます。


もしも65歳時点で1,500万円の貯蓄があるとすれば、老後の資産運用はどのように考えればよいでしょうか?


この場合には「資本回収係数」という計算式を使って計算します。これは今持っているお金を一定利率で運用しながら、毎年いくらずつお金を取り崩して受け取れるかを計算するときに利用します。


今回のケースで、1500万円を持っていて25年間にわたって年間70万円を取り崩すには、安定的に1.23%の利率が必要なことが計算できます。(インフレ率に関して今回は考慮しませんが、実際にはインフレ率を考慮して、この必要な利率に予測されるインフレ率を足した合計で考えることが必要です。)


次に手元に置いておく、現預金の額を検討します。私がアドバイスをする場合には年間不足資金の5年~10年分を手元に置いておくように勧めます。するとこの場合には350万円~700万円は現金で置いておくことになります。この理由は資産運用を始めると、運用している資産は増えたり減ったりのブレが生じますので、当面の手元資金に心配することなく取り崩しのタイミングを計るのに5年~10年程度の余裕があることが望ましいからです。


今回10年分700万円は手元に現金として置いておくとすると、800万円が運用可能な資金となります。この800万円に対する運用ポートフォリオを考えます。オーソドックスに国内海外の株式・債券と4資産に均等に分散投資をしたとすると、日本株式200万円、日本債券200万円、外国株式200万円、外国債券200万円となります。この基本的な4資産を10年間(2004年~2014年各種インデックス)保有した場合のリターンは年率4.7%でした。


手元の現金700万円は、現在の状況が続けば、利回り0と考えて良いので1,500万円全体では10年間で年平均2.5%程度のリターンがあったことになります。

これであれば、当初必要だと考えていた1.23%の利回りは十分に確保していたことになります。資産運用のリスクをそれほど取りたくなければ、現預金の量を増やすことで調整ができます。今回のケースではもう少し現預金が多くても大丈夫そうです。


このように、金融機関に相談に行く前に、まずは自分で


  自分の老後にはどの程度資金が不足しそうなのか?

1年でどの程度の資産を取り崩していく必要があるのか?)


  不足する金額に対して、保有している資産にどの程度の運用利回りがあれば大丈夫なのか?


  1年間で不足する金額の510年分は現金で置いておく


  残った資産を運用することで②の運用利回りはカバーできるのか?


といったところまでは検討して、金融機関に相談する場合には

  ~④の話を伝え、運用する金額と期待するリターンを基に話を進めて行くことをお勧めします。


もしもこうしたプロセスを、重視しない金融機関担当者であれば、長期的にお付き合いするにはふさわしくありませんので、他を当たった方が良いでしょう。

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ヴェリタス連載の2回目です。


年金の話題については、先日も田村厚生労働大臣の「年金は75歳まで支給を遅らせることが選択できるようにする」発言が世間をにぎわしていましたが、私もそのテレビを見ていましたが、「75歳で受け取ることも受給者が選択できるようにする」という発言内容であるにもかかわらず、多くのマスコミでは「すわ、支給開始年齢の大幅な後ろ倒しか!」という誤解した報道内容も目につきました。しかしこうした一連の報道でもわかるように将来の年金支給については、国民の皆さんの関心がとても高いことを表しているとも言えます。


将来の年金支給に関しては、様々な議論がありますが「年金はもらえなくなる」など極端に悲観的な意見もあれば、「これまで同様に変わらないだろう」という楽観的な意見もあり両極端な話が入り混じっています。


そこでもう一度、現状の年金財政について客観的にみてみましょう。最近の厚生年金、国民年金の積立金の推移は図の通りです。厚生年金は7年間で22.4兆円の減少、国民年金は1.6兆円の減少をしていることがわかります。仮にこのままのペースで積立金の取り崩しが行われると、積立金は2040年(25年後)ごろに底をつく計算になります。


この積立金の枯渇を根拠に即「年金破綻」だとする議論もありますが、年金制度については賦課制度ですので、積立金が枯渇したからと言ってすぐに制度破綻につながるわけではありません。


例えば2014年度の厚生年金予算は、年金保険料収入が25.6兆円、税金から8.8兆円、合計34.4兆円に対して、支出が厚生年金給付で24.5兆円、基礎年金への給付で16.1兆円、合計40.6兆円と収入が支出の85%あります。もしも将来仮に積立金が枯渇したとしても、現役世代から集める保険料をその時の年金支給者に分配するという、賦課方式を続ける以上は、年金制度は破綻することなく、単年度の保険料収入を給付で利用するという形で継続可能だと考えられます。


もちろん政治的にも積立金が枯渇するという事態は、受け入れられないと思いますのでそのような状況になる以前に年金保険料を上げるか、給付金を抑制する措置が取られることでしょう。したがって我々国民としては最悪将来の年金は現行の70~80%程度の給付水準になることを覚悟して、準備をしておくのが現実的な対応になります。


前回は老後の平均的な年金収入を216万円(年額)として考えましたが、仮に年金支給額が80%になってしまった場合には、173万円(年額)になります。年間216-17343万円不足しますので、前回の計算よりも43万円×25年間=1,075万円と、約1,000万円を多く見積もっていれば「年金不安」にも備えていると考えて良いでしょう。


次に、仮に自分が退職金を別にして「60歳までに2,000万円の資金を準備しておかなければいけない」場合には、現役(働いている)の間にどのように貯めていけばよいのでしょうか?


60歳までに2,000万円を貯めようとすれば、30歳ならば30年間、40歳ならば20年間、50歳ならば10年間の時間があります。


30年間の場合は、毎月5.5万円、20年間ならは毎月8.3万円、10年間ならば毎月16.7万円の貯蓄をしていれば2,000万円の貯蓄は達成可能です。


これに金利(あるいは利回り)を考慮すると

     0%    1%   2%   3%   4%    5%

30年間 5.5万円  4.8万円 4.1万円 3.5万円 2.9万円  2.4万円

20年間 8.3万円  7.5万円 6.8万円 6.1万円 5.5万円  4.9万円 

10年間 16.7万円  15.8万円 15.1万円 14.3万円 13.6万円 12.9万円

という変化になります。


老後に準備しておく「お金」は、なるべく早く準備に取り掛かることと、確定拠出年金などの税制面で有利な制度を利用しながら、ある程度の利回りを追求しながら準備していくことが必要となります。


この低金利下では、4%5%といった利回りは難しいのではないかと感じられる方もいると思いますが、次回は老後に備えた運用、老後を迎えてからの運用について考えます。

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「65歳でいくら必要?」

2014.06.06(Fri)

先日から日経ヴェリタスさんで連載記事を書かせていただいております。
ブログなどへの転載許可をもらいましたので、4回にわたっての連載記事をご紹介していきます。

今回から4回にわたって、老後の「お金」について考えていきます。

まず初回は「老後のマネープランを考える」と題して、30代~50代の現役世代の方々がリタイア後の生活を迎えるにあたって、「お金」の面でどのような準備をしなければならないかを一緒に考えます。

まず最初に、今回は想定するケースとして、

65歳まで現役として企業などで勤務し、65歳以降は退職し、年金支給を受けながら貯蓄を取り崩しながら生活をする

こととします。

実際には、将来の日本では年金財政の悪化や高齢化の影響を和らげるために、勤労期間の延長(元気で働ける人はできるだけ長く働く)や、年金支給開始年齢の延長(諸外国では67歳~70歳支給の決定が行われつつある)といった対策が行われると考えられますが、その影響はまた次回以降に検討するとして、今回は現在の制度が維持されると想定したケースで考えてみましょう。

まずは、老後の主たる収入になる年金です。2010年の「国民生活基礎調査」では1世帯当たり平均で216万円の年金収入があることが分かります。年金収入は各家庭で大きく異なりますが、これを平均家庭と考えましょう。

一方で支出面では2011年の「家計調査」で世帯主が70歳以上の家計では食料品83万円、住居(持ち家)20万円、保険医療20万円、教育娯楽30万円、その他133万円、合計286万円(月額約23.8万円)という調査結果があります。この支出を老後の生活支出の平均として考えると

収入(年金)216万円-支出286万円=▲70万円(貯蓄取り崩し)

という結果になります。

平均的には1世帯当たり年間70万円取り崩しながら生活を送るということがわかりました。では後は日本人の平均余命を見てみましょう。

2012年厚生労働省発表の「平均余命表」では65歳の男性は18.89年、女性は23.82年となっています。つまり65歳で退職した後、平均的な」男性は84歳、女性は89歳まで寿命があるということになります。

今回はやや保守的に65歳から25年間(90歳まで)の生活期間があるとすれば、

70万円×25年=1,750万円

を65歳時点では準備しておく必要があると言えそうです。

では30代~50代の皆さんはどのようにしてこの金額を準備するのでしょうか?

一つはご自身の退職金予定額をしっかりと把握しておくことです。退職金は「給与の後払い」的な性質の強いお金ですが、あなたの代わりに企業がしっかりと資産形成してくれていたと考えて良いでしょう。

平成25年の経団連の調査では60歳定年の退職金額が2,125万円~2,491万円、ただし経団連は大企業の調査になるますので、その他企業の調査としては平成24年東京都産業労働局労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情 平成24年版」によると60歳定年時は1,113万円~1,224万円であることがわかります。

つまり経団連に所属するような大企業勤務の方は定年時の退職金をそのまま65歳まで維持しておけば、老後の生活資金として十分であり、その他企業の場合には老後資金の半分程度は退職金があり、もう半分は自力で資産形成をしていく必要があるという事になります。

今計算したのはあくまでも平均的な家計イメージなので、皆さんはこの数字をベースに

「うちの会社の退職金や老後の年金はこんな平均ほど出ないのではないか?」

「退職金は老後資金ではなく、住宅ローンの返済にする予定でした」

「自分は持ち家ではなく賃貸なので家賃の25年分も上乗せで準備しておこう」

「毎月の支出は20万円もあれば十分なので、1,000万円は少なく見積もれる」

「インフレ率を考慮していないので、インフレ率を2%で想定しておこう」

といった個々の家庭の事情を踏まえて想定される準備資金を調節してください。

今回のポイントとしては

・自分の家庭の老後の生活費イメージを家庭で共有する

・自分の老後の年金がいくらもらえるのか、退職金がいくらになるのかを事前に把握しておく

・家が賃貸の場合には、老後の生活費に賃貸料を考慮する

となります。

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株式会社マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

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