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昨年の10月にヴァンガードという世界最大級の資産運用会社(投資顧問会社)

に訪問をしてきました。


今回はその訪問記の第2弾です。

米国の証券リテールの業界動向を聞くと


証券ブローカー(仲介)は、よりFiduciary Standardを求められており

仲介手数料からフィーベースへのビジネスモデルの転換が行われている


ロボアドなども出てきており、アドバイザーはより低コスト化を

強いられてきている


フィーが中心のRIA(投資顧問)サービスは、よりウェルスマネジメント

の機能を持った展開をしている


RIA(投資顧問)サービスは、証券ブローカー(仲介)モデルよりも

急速に伸びている


RIA事務所でもM&Aが活発化していて、より巨大な事務所が誕生している


フィーについてもより低廉化が進んできている


投資判断についてはRIA事務所内ではなく、アウトソーシングが進んでいる


銀行チャネルでもFiduciary ruleが進んでおり、フィーベースでの

収益に移行してきている


銀行もオープンなプラットフォームに乗ってきている


というのが、金融リテールの業界で起こっている変化です。


そして、私がとても面白いと思ったのは、ロボット化している作業
ロボット化し難い作業の分類です。

20190209.jpg



自動化しているもの



  • リバランス
  • コストの安い運用を探す
  • アセットアロケーションを組む



自動化しやすいもの

  • アセットロケーション(どの制度にどの資産を持たせるか)
  • トータルリターンとインカム収入のどちらが効率的かの検討


デジタルで関係性を作るもの

  • 顧客の行動に対するコーチング(指導)
  • お金の使い方の戦略指導



デジタル化し難いもの(ウェルスマネジメント)

  • オーナー企業の戦略
  • 信託財産の戦略構築
  • 保険、保障設計
  • 会計、税のサービス
  • 相続や信託財産のサービス

とのことでした。


つまり、金融リテール業は、デジタル化できる分野での競争は厳しいので

各社ウェルスマネジメントに力を入れ始めていることが良く理解できました。


次回は、ヴァンガードの中でも最近急成長をしている


パーソナル・アドバイザー・サービス


について解説していきます。

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昨年の10月にヴァンガードという世界最大級の資産運用会社(投資顧問会社)
に訪問をしてきました。

場所は米国のフィラデルフィア郊外にありまして、町の中心部から1時間ほど車で離れたところにあります。

私たちが、毎年参加しているFPのカンファレンスが今年はフィラデルフィアでの開催であったので一緒に都合をつけて訪問させていただきました。

まず、着いて最初に感じたことはその前年のディメンショナルファンドを訪問した時にも
感じましたが、環境の良さです。

IMG_1378.JPG

都市郊外という事もあると思いますが、敷地は広大ですし、豊かな緑に囲まれていて
資産運用の業界というものは、こうして必ずしも都会の真ん中である必要がないのだと
強く感じるとともに、米国の多様性と豊かさを感じ取れます。

ヴァンガードという会社は、1975年にジョンボーグルという創業者が、インデックスファンドという資産運用業界に新しい概念を持ち込むために作られました。

IMG_1374.JPG

インデックスファンドは、いまでこそ大きな存在になっていて、弊社でもお客様に推奨する
一番の考え方になっていますが、このヴァンガード創立当初はなかなか世間に受け入れられずに事業が黒字化するまでに創業から6~7年かかったそうです。

顧客志向で、なるべく低い報酬でストック型のビジネスモデルというのは弊社も同様ですので、やはり現在世界最大級の運用会社であるヴァンガードでも創業当初は同じだったのだと大変感銘を受けました。

ヴァンガードは会社の仕組みとしても大変ユニークな構造をしていて、
ヴァンガードは自社の株式を自社内で構成しているファンドで保有している
という形式を取っています。

したがって、外部の株主のために必死に収益を上げる必要がなく
ファンド保有者の為にしっかりと経営をしていくことが、ひいては
自社の価値向上にもつながり、それがまたファンド保有者の為になるという
自社のファンドへの投資家と利益相反が起こらないような仕組みづくりをしています。

これもとてもユニークな発想ですので、ぜひ弊社でも顧問の顧客が引いては
弊社の発展の利益を享受できるような仕組みづくりを考えてみたいと思います。

また、こちらはメルマガなどでも何度かお伝えしていますが、現在米国では
独立系のアドバイザー経由でファンドを購入するケースが増えています。

ヴァンガードでも、
2007年には
1.個人投資家自身
2.機関投資家
3.独立系のアドバイザー
という順位でしたが、10年経過して
2018年には
1.独立系アドバイザー
2.個人投資家自身
3.機関投資家
の順番で資金量が多いとのことでした。

したがって、ヴァンガードを中心とした最近の運用会社は、こうした独立系のアドバイザーを支援するような部門が急成長しているのが現在のトレンドです。

次回は、ヴァンガードで見てきた米国運用業界の最新トレンドをお伝えします。

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今後日本が取るべき道は?

2019.01.09(Wed)|カテゴリ:世界経済

5回の連載でお届けしてきました吉野直行先生からのメッセージも今回で最終回です。


最終回は、今後日本社会、経済がどのような点に気を付けていけば

持続的成長が可能な社会になるのかという吉野先生の提言です


高齢化、労働人口減少に対する対応

日本の人口動態として、今後ますます労働力人口が減っていくというのは
前回もお伝えした通りです。

20190111.jpg


これに関して吉野先生は


①人々がなるべく長く働くこと

②高齢になっても働けるような労働力サポートのロボットを開発すること

の2点を挙げています



①人々がなるべく長く働くこと


これに関しては、すでに65歳までの雇用延長、現在では70歳までの雇用延長など

長く働くことに関して日本でも制度的な議論は起こっています。


ただ、ここで欠けているのは労働生産性と賃金の関係性です。


つまり、日本のこれまでの年功序列の賃金体系は、決してその人の労働生産性を

評価した賃金体系になっていないので、定年後雇用延長になると、急に賃金が
激減するというような現象が起こってしまうのです



そもそも、定年になる前から、しっかりとその人の労働生産性に合った賃金体系を

組んでいれば、定年だろうが70歳であろうが、労働生産性に見合う賃金を払えば
雇用主側は困ることは全然ないであろう


という事を指摘しています。


おそらく、私の経験でもホワイトカラーの労働生産性は、30代がピークで

その後は管理職スキルでも磨かない限りは生産性は落ちているのではないかと思います。


つまり、ホワイトカラー事務系は、30代が年収のピークで、その後は

管理職でない限りは減退していくような賃金体系に改めるべきだという事になります。



しかし、こうした賃金体系を見直して、みんなが70歳以上でも働ける体制になれば

年金や社会保障の制度も現在のように手厚くなくても済むようになるはずです。



そうすれば国家財政も大幅に改善するでしょう。



もう1点は

②高齢になっても働けるような労働力サポートのロボットを開発すること

です。


これは、ホワイトカラーではなく、むしろ体を使う仕事

・工場作業
・労働作業

などの場合、70歳を超えても作業ができるようにする補助用のロボット開発が
今後の日本を支えるビジネスになりそうです。



また、こうしたビジネスやロボットの開発が進めば、遅れて高齢化社会に突入する

アジア圏の国々でも日本が先端の高齢化国として取り組んできた商品が
のちに販売できるようになります。



こうした、労働体系の見直しと、高齢労働をサポートするようなロボットの開発

が今後の日本経済の成長を担う大きな推進力になると見通しています。

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日本の移民政策の可否について

2018.12.20(Thu)|カテゴリ:世界経済

今回はちょっとセンシティブなテーマにはなりますが、移民の議論についてです。

20181222.jpg

先日12月8日に国会で「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、特定技能と呼ばれてはいますが、実質日本で人手不足の業界に外国人労働力を提供しやすくする法律であることは間違いありません。

これに関して、吉野先生はあまり賛成していません。
主な理由として、

・優秀な外国人は主に英語圏が仕事も生活もしやすいので
 日本語圏である日本には、本当に優秀な人は移住してこない

・したがって、日本で移民政策を拡大すると、いわゆる一流ではない
 二流、三流の人材が流入してくる可能性が高い

・日本社会では、まだ外国人受け入れについての議論が成熟していないので
 社会的なコンフリクトや政治的なコンセンサスを得るのが難しい

ということが挙げられます。

データを確認すると、平成29年度では、127万人の外国人労働者がいます
(厚生労働省「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ)
これは、日本の人口の約1%にあたります。

10年前には48万人でしたので、ここ10年で3倍近くに増加しています。
特に都内で生活している人は、人口比1%どころではないことは実感として持っていらっしゃると思います。

私の居住するマンションでも、外国人の方が入居されていますが、やはりごみ捨てのルールなど守れませんし生活面で周囲の日本人と基本的な生活習慣が異なるために、トラブルになるケースも多そうです。

また、管理を担当する不動産会社の方でも実際には外国人対応まで出来ていない印象を受けます。

もし、今後も移民受け入れの議論を行うのであれば、それは「人口動態」の議論とセットで行うべきであるというのが吉野先生の主張です。

日本のように高齢化が進んでしまうと景気を回復させる手段としての金融政策も、労働人口が少なく金融資産(ストック)依存の人が増えるために効きにくい財政政策も、高齢化の中で限界消費性向が下がるので、効きにくくなるという事で、高齢化は金融政策、財政政策ともに過去ほどには経済をコントロールし難くなります。

移民を入れる議論は、こうした日本の人口動態に変化をもたらす材料と、その経済効果についても議論した上で長期的に慎重に導入するべきだというのが吉野先生の主張です。

次回は吉野先生メッセージシリーズの最終回です。
今後の日本経済が集中するべきポイントについて解説していきます。

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経常収支のバランスについて

2018.12.06(Thu)|カテゴリ:世界経済

先月から連載でご紹介しているアジア開発銀行研究所所長の吉野直行さんのメッセージです。


第3回目は、経常収支のバランスについての議論です。

【経常収支のバランス問題は国内問題にあり】

20181208.jpg


トランプ大統領が就任後、さかんに

「米国の経常収支の赤字が問題である。特に輸出、輸入に問題がある。」

という事を発言し、貿易不均衡と関税を中心とする貿易政策に熱心です。


ここで、マクロ経済学をおさらいしてみましょう。

以下wikipediaの解説を参照します。


一国の生産水準をYとする。輸入をIM、輸出をEX、消費をC、投資をI、政府支出をGとする。
すると、支出面から見たGDP(国内総生産)=Yとすると、Yは次のような恒等式で表わされる。


Y=C+I+G+(EX-IM)

(EX-IM)は経常収支である。 ここで、租税をTとして上記の式を変形すると

(Y-T-C)+(T-G)-I=EX-IM

となる。(Y-T-C)は民間貯蓄であり、(T-G)は政府貯蓄であるから、貯蓄をS(=民間貯蓄+政府貯蓄)とすると

S-I=EX-IM

となる。つまり、経常収支(EX-IM)の大きさは貯蓄と投資の差に等しい。

ということで、経常収支とは国内の貯蓄から投資を引いた金額に等しいという事がわかります。


ですから、日本としては米国の経常収支の赤字問題は、貿易政策にあるのではなく

米国内の貯蓄と投資のバランスにあるということを、主張しG20などの国際会議でも主張しています。

【日本と米国ではおかれた環境が異なる】


また、米国は日本の経常黒字について強く非難をしていますが、これは両国の現在の環境によって見方も変わるはずです。

日本国内の一番深刻な課題は、みなさんもご承知の通りの少子高齢化です。

これから高齢化で就業人口が減り、少子化で人口自体も減少をしていく社会です。

このような社会では、近い将来、貯蓄率が減少し、先ほど見たISバランスでも経常収支が赤字化することが目に見えています。

そして、それは社会構造的な問題ですので、なかなか改善させることのできない経常赤字問題になることが予想されます。


一方で、米国は海外からの移民流入を含めて、まだまだ人口増加や高齢化とは程遠い社会です。


日本では、こうした将来に向けて、現在は経常黒字を積み重ねていかなければ、将来は経常赤字のファイナンスが難しいという環境にあります。


【日本の政治家はしっかりと説明するべき】


結論としては、

経常収支問題は、貿易不均衡の問題だけに矮小化するのではなく、国内の貯蓄投資バランスの原因についてしっかりと話をすること

また、日本の場合には将来の人口動態を睨み、現段階ではこうした経常収支を黒字で積み上げていかないと将来の経常収支赤字のファイナンスに備えられない状況である


という2点について、しっかりと米国や国際社会の中で主張していく必要がある


というのが、吉野先生の今回のメッセージです。


次回はちょっとセンシティブなテーマにはなりますが、移民の議論についてです。

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国有財産の処分方法について

2018.11.22(Thu)|カテゴリ:世界経済

前回から連載でご紹介しているアジア開発銀行研究所所長の吉野直行さんのメッセージです。

第2回目は、国有財産の処分方針、埋蔵金問題についてです。

国有財産については村田和彦(財政金融委員会調査室)さんの「立法と調査」2018年9月号に現状がまとめられていたので、引用させてもらいます。
(オリジナルはこちら

以下引用です

国有財産行政の対象となる財産は、国有財産法(昭和 23 年法律第 73 号。以下「法」という。)
第2条及び附則第4条に規定されている財産をいい、具体的には不動産、船舶・航空機等の動産、有価証券などがある。
法では、国有財産を「行政財産」と「普通財産」に分類している(法第3条第1項)。

行政財産は、
①庁舎、国家公務員宿舎、刑務所などの「公用財産」、
②国道、河川、公園などの「公共用財産」、
③皇居、御所などの「皇室用財産」、
④国有林野事業のための国有林野の「森林経営用財産」

の4種類に分けられており、各省各庁の長が管理することとされている(法第3条第2項、第5条)。
また、行政財産は、原則として売払い、貸付け等の処分を行うことはできず、行政財産が不要となった場合は、各省各庁の長はその用途を廃止して普通財産とし、財務大臣に引き継ぐこととされている(法第 18 条第1項、第8条第1項)。

普通財産は、行政財産以外の一切の国有財産をいい(法第3条第3項)、
原則として特定の行政目的に直接供されることのないものであり、例えば庁舎などの跡地、物納された土地、政府保有株式などがあり、原則として財務大臣が管理処分することとされている(法第6条)。

一部の各省庁所管の特別会計所属の国有地は、所管省庁が自ら処分する権限が認められている(法第8条第1項ただし書、同条第2項)。
近年は、国有財産の有効活用を図る観点から、財務省への事務委任を積極的に推進することにより、統一的ルールによる処分等が進められている。

国有財産台帳で管理されている国有財産の現在額は、毎年度、国会に報告することとされており、平成 28 年度末の国有財産現在額は 106 兆 79 億円であり、そのうち、行政財産は 23 兆 4,645 億円、普通財産は 82 兆 5,434 億円となっている。

また、国有財産のうち、土地の総額は 17 兆 9,693 億円であり、そのうち行政財産が 13 兆 932 億円、普通財産が4兆 8,761 億円となっている。
普通財産の土地のうち、在日米軍施設、地方公共団体等の公園用地等がその多くを占め、処分対象となる未利用国有地は 4,234 億円となっている

土地の面積で見た場合、国有地の面積は 87,650 ㎢、国土面積 377,971 ㎢の約 23.2%に相当する。
そのうち、行政財産は 86,633 ㎢とその約 99%を占め、普通財産は 1,017 ㎢となっている。

普通財産のうち、山林原野等が 845 ㎢と 83%を占め、未利用国有地は9㎢と

普通財産の土地の1%程度を占めるにすぎない。

なお、普通財産の土地のうち特別会計所属のものは、1,502 億円、2㎢となっている。
以上 引用終了

引用の中でも

「行政財産は、原則として売払い、貸付け等の処分を行うことはできず、行政財産が不要となった場合は、各省各庁の長はその用途を廃止して普通財産とし、財務大臣に引き継ぐこととされている」

「近年は、国有財産の有効活用を図る観点から、財務省への事務委任を積極的に推進することにより、統一的ルールによる処分等が進められている。」

という事からも、国有財産については、なるべく有効活用の観点から、そして国の財政に貢献することを目的に売却処分されることになっています。

しかし、吉野先生は、この国有財産の売却処分について疑問を持たれています。

それは、売却処分を行って財政的に改善されるのは一時的な効果しか得られません。
それよりもしっかりと国有財産を有効利用して、中長期的に活用できる状況にすることの方が長期的な財政改善に貢献することができるのではないかと考えています。

つまり、例えば1,000億円の国有財産があるとした場合、

①これを民間に売却してしまえば、その時点で1,000億円の国庫収入があり、国家財政が1,000億円改善します

②これを有効活用し、仮に4%程度の収益性のあるものにできれば、年間40億円の収入があり、財政が40億円分改善します。
そして、その効果が長く続くほど、国家財政に長期に寄与します。

ここで、吉野先生が②の案を支持するのは、主に世代格差や高齢化に伴う影響です。

①の案は、一時的に改善しますが、それだけで現在の現役世代にしか影響がありません。
②の案では、中期的に改善を促すことで、その効果は現役世代のみならず、将来世代への好影響も考えられます。

小屋の頭に浮かんだ例は、霞が関コモンゲートです。

999222433896.jpg

この場所は、文部科学省と会計検査院の跡地を、民間と合同で再開発した事例です。

現在では、東館に文部科学省、文化庁、会計検査院、西館に民間企業が入っています。

この土地は官民一体で再開発した結果、国有財産と民間の財産に別れた結果になっていますが国有財産をこのような形で再開発して、収益性を向上させることのできる例はたくさんありそうです。

このように単純に売却処分をして、現在の財政改善にしか目を向けないのは、将来世代に対する責任のない行為であると吉野先生はしています。

同じ指摘を、「埋蔵金問題」として一時期もてはやされた特別会計の剰余金処分問題にもされています。

埋蔵金問題とは、一般会計ではなく特別会計内に残っていた剰余金や積立金の処分に関する問題ですがこれが、2000年代後半から、一般会計や予算に利用されてきました。

これも先程の国有財産の話と同じで

①これを今利用してしまえば、その時点で予算として利用できる

②これをしっかりと有効活用し、収益性のあるものにできれば、国家財政に長期に寄与します。

政治家としては、現時点で予算化してしまった方が、現役世代から支持が得やすいので短史眼的な①を選びがちですし、実際にそういう選択がされてきました。

本来は、これも将来世代に対する責任としては、中長期でしっかりと効果の出る利用方法を検討しなければなりません。

国有財産の処分、あるいは埋蔵金の活用については、現時点だけの判断ではなく
どのような利用方法をすれば将来世代に寄与することができるか?

という視点で議論をしてほしい

というのが吉野先生のメッセージです。

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トランプ大統領の貿易政策

2018.11.09(Fri)|カテゴリ:世界経済

前回ご紹介したアジア開発銀行研究所所長の吉野直行さんのメッセージです。

第1回目は、トランプ大統領の貿易政策についてです。

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トランプ氏は今年に入り、鉄鋼・アルミニウムなどで関税を賦課したり
中国からの輸入品に対して関税を賦課したり
貿易赤字の解消が、自国の産業保護や雇用の保護のために
米国経済に必要だという主張の元にこれまでのアメリカの貿易政策を大きく転換しています。

これに対して、日本はどのような行動を取ればよいのでしょうか?

それには、なぜこれまでのアメリカが自由貿易を選択し、それが世界経済にとって有効に機能してきたのかを考えてみます。

国際貿易の利点は、一番古典的な理論ではデヴィッド・リカードの比較優位論がわかりやすい説明になっています。(Wikipedia比較優位参照)

英国とポルトガルの2国で毛織物とワインの2つを生産して貿易することを考えてみましょう。

具体的には
1単位時間分だけ働いた場合の生産量を

       毛織物 ワイン
英国       36   30
ポルトガル   40   45

ポルトガルは、ワインと毛織物の双方に関して、
英国に対し両方とも生産量が大きいので絶対優位です。

しかし、毛織物に関してはワインよりも生産効率が良いという意味で英国の方が比較優位であり、ワインに関してはポルトガルの方が生産効率が良いという意味で比較優位です。

つまり、英国の絶対優位性と比較優位性とは異なるということになります。

この英国とポルトガル双方が貿易から利益を得られるとはどういうことなのでしょうか?

これも例として
各国の労働力人口と労働投入係数が、簡略化の為に、失業者が居ない場合を想定している場合を考えましょう。

下記のようにそれぞれの国が労働力を持つとします。

        労働力 毛織物  ワイン
英国     220    100   120
ポルトガル  170    90    80

そうすると各国の生産量は

            毛織物      ワイン
英国        100×36=3600  120×30=3600
ポルトガル     90×40=3600   80×45=3600
両国の生産量    7200        7200
合計
となります。

極端ですが、これを比較優位のある産業に偏らせて

        労働力 毛織物  ワイン
英国     220    220   0
ポルトガル  170    0    170

とすると各国の生産量は

              毛織物         ワイン
英国        220×36=7920     0
ポルトガル     0             170×45=7650
両国の生産量   7920          7650

となり、先程の両国合計の生産量を上回ります。

これは、各国の国際分業によって全体的な労働生産性が増大することを示し、
さらに、自由貿易を前提とした場合には両国が共に消費を増大させられることを示しています。

すなわち、比較優位にある財を輸出すると共に比較劣位にある財を輸入すれば、
絶対優位に関係なく貿易で利益を享受できるということを意味するのです。

単純に言えば、このような理屈で、各国が得意な産業に生産を傾斜し、自由貿易を進めていくのが世界全体の生産性の意味では良くなるということで、貿易が振興されてきました。

一方でトランプ大統領が取ろうとしている保護主義的な政策は主に

海外からの輸入の拡大は国内生産者の利益を損ねる
海外からの輸入の増加によって、国内の製品が売れなくなり、雇用が悪化する
海外から安価な商品の大量流入によって国内の生産の縮小→国内企業の工場の海外移転→国内産業の空洞化が生じる

といった国内の生産や雇用の問題から発生しています。
こうした、保護主義的な政策は、一時的にアメリカだけのことを考えると有効なのかもしれませんが先程の自由貿易の理論からすると米国以外の世界的には効率が悪くなり、経済成長の阻害要因になります。

なので、実際に政策を検討するためには、この自国の産業と世界経済の2つの方程式を連立で検討しなければならないのです。

しかし、現在のトランプ政権は、まるで自国の一つの方程式しか見ていないように見受けられます。

日本としては、こうした米国の保護主義的な政策についてWTO(世界貿易機関)などの国際機関を通じて、自由貿易の正当性を訴えていくのが一番の筋道だと思っています。

自由貿易のメリットという正論を国際機関の中で主張していけば、日本以外の主要国の賛同も得られると思いますし、米国も正論を受け入れざるを得ない場面が出てくるはずです。

次回は、国有財産の売却や埋蔵金活用の議論についてです。

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株式会社マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

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