「手段」が「目的」化すること
2017.07.22(Sat)
先日、久しぶりにセミナーの機会をいただきまして大家さん向けに、中長期的な視野での資産形成や次世代への資産承継について話をさせていただきました。
その中で、セミナー受講者からの感想や懇親会での意見として
「久しぶりに大局的な話を聞いた」
「テクニカルな話になるセミナーが多い中で、根本的な話が聞けて良かった」
というような感想を多くいただきました。
懇親会でお酒を飲みながら率直な感想を聞いてみると
ともすれば、大家さんの勉強会でも
・借り入れを沢山行い、いっぱい物件を所有している方が成功だと勘違いしてしまう
・物件を沢山買い入れるうちに、本来はのんびりとした生活を送ることが目標であったのに、物件の管理業務で、息を付けないほど忙しくなってしまっている
ということがあるそうです。
これは、会社でも陥りがちな話ですが
「そもそも何の為(目的で)、投資をしているのか?」
「そもそも何の為(目的で)、事業を行っているのか?」
という足元をしっかりと見つめて運用を行っていかないと
「資産運用が上手く行くこと」
「資産が増えれば増えるだけ良い」
という、本来は目的を達成するための「手段」であったはずの運用が、「目的」にすり替わってしまい、結果として幸せな人生にはつながっていかない。
という人も数多く見かけます。
ブログ読者の皆様も、資産運用が上手く行くように努力するのは当たり前の話として
そもそも資産運用によって
「自分が将来どのような人生を歩みたいのか?」
「資産運用が自分の人生にどのように寄与する手段であるのか?」
ということを折を見て考えていただきたいなと思います。
特に、資産家の方は自分1代の話だけではなく、子供たち孫たちの2~3代にわたるストーリーやシナリオを描いていただきたいところです。
「骨太方針」2017を読んで
2017.07.17(Mon)
先月6月9日に閣議決定されて発表された
「骨太方針」の2017年版
http://www5.cao.go.jp/keizai-
ですが、昔に比べ、あまりニュースでもwebの世界でも話題になっている感じがしません。
でも、一応私の方では過去に何度か記事にもしているので、今回も読んでみました。
昨年の話
https://mlplanning.co.jp/blog/
一昨年の話
https://mlplanning.co.jp/blog/
読んだ感想としては、昨年の感想と全く変化がありません。
つまり、総花的で、政策の実行度合いもほとんどわからない方針説明になってしまっています。
また、毎年毎年、目先のテーマを変え
今年は
「働き方改革」
というテーマを前面に打ち出して、新規性を出しています。
ただ、よく考えても見てほしいのですが、政府の出す根本的な対応策が、毎年毎年テーマを変える必要があるのでしょうか?
本気で、日本経済を再生させたいと思うのであればそのボトルネックを実直に毎年コツコツと改善していく必要があるのではないでしょうか?
これでは、単にテレビやマスコミ受けを狙って、あえて新規のテーマを出している
(今年は電通の過労死自殺事件がありました)
ようにしか思えません。
一応、昨年よりも良くなった点は、一応アベノミクスの成果という資料を今年の1月にまとめて発表しています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-
これによって、政府の考えている政策と、実際の効果が検討できるようになってはきました。
しかし、アベノミクスの成果だと謳われている内容が、私の目から見れば
そのほとんどは
「高齢化で生産年齢人口の低下に伴う、労働需給のひっ迫」
「米国を中心とする世界経済の安定的な成長」
に起因する材料が多く、
「アベノミクス」
の成果として、この変化が起きているのかどうかは正直、良く分かりません。
(その意味では安倍首相は運が良いのだと思います)
唯一、成長戦略の効果として評価がしやすいのが
「観光」(インバウンド)の成長だと思います。
この面では、政府の取った政策(主にビザの緩和)などが素直に数字に反映されているように読み取ることができます。
しかし、例えば冒頭に出てくるGDPの数字も、算出方法が変化した
(研究開発費を組み入れるようになった)
影響があるということなどは、もちろん全く触れられていません。
このように、統計資料というのは、いくらでも提出側の都合の良いように(結論ありきで)作成して見せることができますので、読み取る方は注意が必要です。
毎年、この資料を見ていて思いますが、なかなか「社会保障」「地方行政」などの本質的な改革に踏み込まないと、政府主導での変化は難しいだろうと思います。
こちらは、毎年の方針で触れられてはいますが、ずっと未解決のままです。