小屋洋一Blog 小屋洋一Blog

日本の移民政策の可否について

2018.12.20(Thu)|カテゴリ:世界経済

今回はちょっとセンシティブなテーマにはなりますが、移民の議論についてです。

20181222.jpg

先日12月8日に国会で「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、特定技能と呼ばれてはいますが、実質日本で人手不足の業界に外国人労働力を提供しやすくする法律であることは間違いありません。

これに関して、吉野先生はあまり賛成していません。
主な理由として、

・優秀な外国人は主に英語圏が仕事も生活もしやすいので
 日本語圏である日本には、本当に優秀な人は移住してこない

・したがって、日本で移民政策を拡大すると、いわゆる一流ではない
 二流、三流の人材が流入してくる可能性が高い

・日本社会では、まだ外国人受け入れについての議論が成熟していないので
 社会的なコンフリクトや政治的なコンセンサスを得るのが難しい

ということが挙げられます。

データを確認すると、平成29年度では、127万人の外国人労働者がいます
(厚生労働省「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ)
これは、日本の人口の約1%にあたります。

10年前には48万人でしたので、ここ10年で3倍近くに増加しています。
特に都内で生活している人は、人口比1%どころではないことは実感として持っていらっしゃると思います。

私の居住するマンションでも、外国人の方が入居されていますが、やはりごみ捨てのルールなど守れませんし生活面で周囲の日本人と基本的な生活習慣が異なるために、トラブルになるケースも多そうです。

また、管理を担当する不動産会社の方でも実際には外国人対応まで出来ていない印象を受けます。

もし、今後も移民受け入れの議論を行うのであれば、それは「人口動態」の議論とセットで行うべきであるというのが吉野先生の主張です。

日本のように高齢化が進んでしまうと景気を回復させる手段としての金融政策も、労働人口が少なく金融資産(ストック)依存の人が増えるために効きにくい財政政策も、高齢化の中で限界消費性向が下がるので、効きにくくなるという事で、高齢化は金融政策、財政政策ともに過去ほどには経済をコントロールし難くなります。

移民を入れる議論は、こうした日本の人口動態に変化をもたらす材料と、その経済効果についても議論した上で長期的に慎重に導入するべきだというのが吉野先生の主張です。

次回は吉野先生メッセージシリーズの最終回です。
今後の日本経済が集中するべきポイントについて解説していきます。

無料の資産運用メール講座は、こちら!

ページトップへ戻る

経常収支のバランスについて

2018.12.06(Thu)|カテゴリ:世界経済

先月から連載でご紹介しているアジア開発銀行研究所所長の吉野直行さんのメッセージです。


第3回目は、経常収支のバランスについての議論です。

【経常収支のバランス問題は国内問題にあり】

20181208.jpg


トランプ大統領が就任後、さかんに

「米国の経常収支の赤字が問題である。特に輸出、輸入に問題がある。」

という事を発言し、貿易不均衡と関税を中心とする貿易政策に熱心です。


ここで、マクロ経済学をおさらいしてみましょう。

以下wikipediaの解説を参照します。


一国の生産水準をYとする。輸入をIM、輸出をEX、消費をC、投資をI、政府支出をGとする。
すると、支出面から見たGDP(国内総生産)=Yとすると、Yは次のような恒等式で表わされる。


Y=C+I+G+(EX-IM)

(EX-IM)は経常収支である。 ここで、租税をTとして上記の式を変形すると

(Y-T-C)+(T-G)-I=EX-IM

となる。(Y-T-C)は民間貯蓄であり、(T-G)は政府貯蓄であるから、貯蓄をS(=民間貯蓄+政府貯蓄)とすると

S-I=EX-IM

となる。つまり、経常収支(EX-IM)の大きさは貯蓄と投資の差に等しい。

ということで、経常収支とは国内の貯蓄から投資を引いた金額に等しいという事がわかります。


ですから、日本としては米国の経常収支の赤字問題は、貿易政策にあるのではなく

米国内の貯蓄と投資のバランスにあるということを、主張しG20などの国際会議でも主張しています。

【日本と米国ではおかれた環境が異なる】


また、米国は日本の経常黒字について強く非難をしていますが、これは両国の現在の環境によって見方も変わるはずです。

日本国内の一番深刻な課題は、みなさんもご承知の通りの少子高齢化です。

これから高齢化で就業人口が減り、少子化で人口自体も減少をしていく社会です。

このような社会では、近い将来、貯蓄率が減少し、先ほど見たISバランスでも経常収支が赤字化することが目に見えています。

そして、それは社会構造的な問題ですので、なかなか改善させることのできない経常赤字問題になることが予想されます。


一方で、米国は海外からの移民流入を含めて、まだまだ人口増加や高齢化とは程遠い社会です。


日本では、こうした将来に向けて、現在は経常黒字を積み重ねていかなければ、将来は経常赤字のファイナンスが難しいという環境にあります。


【日本の政治家はしっかりと説明するべき】


結論としては、

経常収支問題は、貿易不均衡の問題だけに矮小化するのではなく、国内の貯蓄投資バランスの原因についてしっかりと話をすること

また、日本の場合には将来の人口動態を睨み、現段階ではこうした経常収支を黒字で積み上げていかないと将来の経常収支赤字のファイナンスに備えられない状況である


という2点について、しっかりと米国や国際社会の中で主張していく必要がある


というのが、吉野先生の今回のメッセージです。


次回はちょっとセンシティブなテーマにはなりますが、移民の議論についてです。

無料の資産運用メール講座は、こちら!

ページトップへ戻る

ホームへ戻る

小屋洋一Blog

株式会社マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋洋一

RSS

ページトップへ戻る