資産運用の最近のブログ記事

前回のメルマガの続きで、今回はKPI比較のコスト編です。



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~おさらい~

2018年に金融庁が

「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」

という発表をして、各金融機関の投資信託の販売状況を

購入者側が比較検討しやすいように、比較可能な共通KPIというものを

設定するように促しました。

その詳細は、こちらになります


とはいうものの、なかなか投資信託を購入する際に、販売会社の情報を

比較することもないと思いましたので、一度調べてみました


とりあえず、証券大手3社を比較してみましょう


野村証券

コスト 2.49%

大和証券

コスト 
2018年 1.96%
2019年 1.93%

日興証券

コスト 2.08%


でした。

日興証券と大和証券が2%前後で、野村證券はそこからまた0.5%程度
高い水準になっています。

また、ここでのコストは、各社

コスト=販売手数料率/5+信託報酬率

という計算式で算出されていましたが、一方で日興証券の同じ資料からは

日興証券の投資信託保有者は、平均保有期間が3年にも満たない

というデータもありましたので、各社の投資家が投資信託を5年も保有していない

可能性が高いことを考えると、2%台ではなく3%以上が実態ではないかと推察します。


一方で、ネット系の証券会社では、ここ1週間で、投資信託の販売手数料無料化の
大きな動きが起きています。

12月2日:松井証券、投資信託購入時手数料の無料化を発表
12月2日:auカブコム証券、信用取引の手数料撤廃を発表
12月3日:マネックス証券、投資信託 実質無料化を発表
12月3日:楽天証券、投資信託 買付手数料無料化
12月4日:マネックス証券、キャッシュバックから買付手数料無料化に変更
12月4日:SBI証券、投資信託の販売手数料無料化


これは、米国で証券会社が投資信託のみならず株式の売買手数料を無料化する

という流れを見て、国内にも波及したものです。


とりあえずは、ネット系の証券会社が販売手数料無料化に取り組み始めましたが

これが上記のような対面販売の証券会社や銀行などにも影響を与えることは時間の問題です。

おそらく、2~3年もすれば、対面で手数料がかかる取引を敬遠する人が増えるのではないでしょうか。


そして、手数料無料化に向かっているネット系証券各社からは

「これからはアセットマネジメントやアドバイスの収益に力を入れる」

と発表していることから、ようやく日本の金融リテール業界でも

アドバイスの価値や有料化が始まるのかと、先行している弊社からすると

その動きから目が離せません。

昨年2018年に金融庁が

「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」

という発表をして、各金融機関の投資信託の販売状況を

購入者側が比較検討しやすいように、比較可能な共通KPIというものを

設定するように促しました。

その詳細は、こちらになります


とはいうものの、なかなか投資信託を購入する際に、販売会社の情報を

比較することもないと思いましたので、一度調べてみました



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野村証券

運用損益(2013年4月~2019年3月末)

ー50%未満 1%

-50%以上ー30%未満 0%

-30%以上ー10%未満 4%

-10%以上ー0%未満  15%

0%以上+10%未満  38%

+10%以上+30%未満 27%

+30%以上+50%未満 11%

+50%以上      4%

です。

80%の方々がプラスの損益です。


大和証券

運用損益(購入時点~2019年3月末)

ー50%未満 3.0%

-50%以上ー30%未満 3.2%

-30%以上ー10%未満 11.1%

-10%以上ー0%未満  19.2%

0%以上+10%未満  23.9%

+10%以上+30%未満 23.4%

+30%以上+50%未満 8.0%

+50%以上      8.3%

です。

63.5%の方々がプラスの損益です。


SMBC日興証券

運用損益(購入時点~2019年3月末)

ー50%未満 2%

-50%以上ー30%未満 1%

-30%以上ー10%未満 11%

-10%以上ー0%未満  21%

0%以上+10%未満  21%

+10%以上+30%未満 18%

+30%以上+50%未満 11%

+50%以上      14%

です。

64%の方々がプラスの損益です。


ちなみに弊社では

運用損益(2013年4月~2019年3月末)

ー50%未満 0%

-50%以上ー30%未満 0%

-30%以上ー10%未満 0%

-10%以上ー0%未満  0%

0%以上+10%未満  0%

+10%以上+30%未満 0%

+30%以上+50%未満 50%

+50%以上      50%

です。

100%の方々がプラスの損益です。


これは、当然の話でそれぞれの

資産対象が2013年~2019年にかけて上昇しているので

むしろこの期間では長期で保有していてマイナスになる方が

難しいと思われます。


ちなみに2013年~2019年にかけて

日本株式 約76%上昇

外国株式 約91%上昇

日本債券 約8%上昇

外国債券 約22%上昇

と概ねどんな資産でも大幅に上昇しています。

これら株式や債券の組み合わせでポートフォリオを組んでいれば

30~50%程度の上昇をしていて当然だとも言えます。

大和証券やSMBC日興証券は、投資信託保有時から計測しているので

保有期間が6年に満たないものが混ざっているので、よりパフォーマンスを

押し下げているのだろうと推察します。


次回は、販売している投資信託のコスト比較をしてみようと思います。

長期的に考えることの難しさ

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最近、相談の現場でいくつかあったケースで感じたことを書きます。

それは、いくら説明してもなかなか個人投資家の方に長期での投資を

捉えてもらうのは難しいものだという事です。


仕事でも何でも、やり方やテクニックなど短期的に成果が出ることに関心が向かい

人格形成や人脈形成など中長期的に成果を出すために必要なことに

関心が向かいにくいのも同じことなのだろうと思います。



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運用で言えば、具体的には、

弊社では3月、6月、9月、12月と四半期ごとに顧客の運用状況について

レビューをしているのですが、その今年2019年9月末のレビューで、

昨年の2018年9月末から1年間でそれほど資産が成長していないことに

苛立ちを覚える顧客が少なからずいるというのが現実です。


弊社では、基本的には株式を長期投資でロング(買い持ち)してもらうのをベースに話をしています。

ここでいうところの長期とは5年~10年程度の期間で、もちろん半年~1年などという期間は短期の部類に入ります。


株式の長期チャートを見ていただければわかるのですが、如何に順調そうな長期ブル相場でも株価が半年~2年程度冴えないということはよくあります。


米国株を例にして2008年金融危機からの10年以上続くブル相場のチャートを見てみましたが

2011年~2012年半ば  

2015年~2016年半ば

2018年~2019年半ば

など1年半ほど株価が上がらない状況が3回もありました。


ここで、短期的視点しか持てない投資家は、1年半の膠着した状況が辛抱できずに

ポジションを手放してしまって、その後に訪れる上昇相場を取り切ることができずに

結果として株式投資の成果を享受することができません。


10年の間で1年半が3回あるわけですので、約4年半、極端に言えば半分ぐらいの期間は株価が行ったり来たりで冴えない展開をしているものなのです。


これが2008年以降の、もっとも長期的に上昇相場にある時でそうなのですから

上昇相場でもなければ、もっと辛抱が必要です。


大和総研のレポートによると

ノーベル経済学賞受賞者のリチャード・セイラー教授の話によると、

こうした行為を防ぐためには運用評価の頻度を下げることも有効なようです。


弊社の場合にも、4半期に1度評価しているのですが、顧客に対して4半期ごとに運用状況をお伝えするのがはたして顧客の投資行動に寄与するのか?

という課題については考えていかなければならないのかもしれません。

ノーロード保険商品の販売

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前回に続き、米国のNAPFAカンファレンスで見てきた事の報告です。

セミナーやスポンサーブースの中で面白い物を見つけました。

ノーロード保険

という保険商品です。


日本でも米国でも、保険商品は販売者に対する販売コミッション(手数料)が高く、

まともな資産形成のアドバイザーであれば、
なかなか保険商品をお客様に推奨するのは難しいというのが
これまでのアドバイザー業界での常識でした。


数年前に同じカンファレンスに参加していたときには


「ローロード保険」(手数料を安くしている)保険代理店と言うものは
見たことがありましたが、ついに販売手数料フリーの商品も出てきたようです。

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NAPFAのメンバーであるアドバイザーは、販売手数料を取らないという
主義主張のアドバイザーの組織ですので、これまでこの団体に所属する
アドバイザーは保険商品の販売は一切扱って来なかったのです。


こうした商品が開発されたのは、おそらく販売手数料なしの商品を開発すれば、
こうした販売手数料を取らない主義のアドバイザーでも扱ってくれるという
画期的で逆説的な発想です。


代理店が販売手数料を取らないで、そのかわりこうした商品を扱いたい
アドバイザー側から会費を取るという新しいビジネスモデルです。


日本でも、保険商品というのは手数料が高くて、それがまたブラックボックスで
購入者には伝わらないために、契約者はかなりの不利益を受けています。


こうした、米国のような手数料なしの商品開発などが行われるように
なると、消費者にとってもとても良い商品が提供されるようになると
思いますが、その道はかなり遠い印象があります。


まずは、無駄な保険には加入しないという啓蒙活動から行っていきたいと思います。

前回のメルマガでご報告した通り、先週は一週間米国のシカゴで

NAPFAというファイナンシャルアドバイザー団体のカンファレンスに

参加してきました。



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カンファレンスに参加する前日には、シカゴ郊外のTimothy Financial Counsel Inc.

にオフィス訪問をさせていただき、現場でのお話を聞くことができましたので

今回は、その内容を報告したいと思います。


小屋も10年間米国FPのカンファレンスや事務所訪問を続けていますが

今回のTimothy Financial Counsel Inc.のビジネスモデルというものは、

10年間でも初めて出会うものでした。


米国のファイナンシャルアドバイザーは、主に顧客の資産管理に携わり、

そこからアセットマネジメント報酬(Fee)をいただくという内容が主流になっています。

これは、金融商品の売買で売買手数料をもらうビジネスモデルは、

顧客との利益相反が起こりやすいので、最近急速に流行ってきているビジネススタイルです。


しかし、今回のTimothy Financial Counsel Inc.では、

この利益相反関係にあるという考えをより一歩進めて、顧客からの報酬は、

完全な時間報酬で決定するというスタイルでした。


つまり、顧客の相談や解決に使う時間にたいして、

時間給3万円でサービスを提供するというビジネスモデルでした。


顧客の相談内容の複雑性に合わせて


レベル1 (10時間程度) 30万円   主に一人暮らしの人や未亡人など

レベル2 (15時間程度) 45万円   二人暮らしでシンプルな家庭

レベル3 (20時間程度) 60万円   子供がいる家庭、年金受給をしている夫婦など

レベル4 (30時間程度) 90万円   主にスモールビジネスのオーナーなど

レベル5 (それ以上)  100万円以上 それ以上の規模や複雑性があるビジネスオーナー、資産家など


という内容であったりします。


【参考】

Timothy Financial Counsel Inc.のHP


この会社の話を聞いて下記の2つのことを考えました。



①資産管理型のビジネスモデルが、米国では本当に定着してきていること

Timothy Financial Counsel Inc.では、資産管理型のビジネスモデルでは、

顧客の支払う報酬と、アドバイザーが提供するサービスが必ずしも一致していないというところに疑問を感じた代表者が設立したという話を聞きました。

その意味では、米国では本当に資産管理型のFeeビジネスモデルがしっかりと定着をしていてそのモデルに対する疑問や反発が出てきたのだろうと感じました。



②専門家としての報酬レベル

Timothy Financial Counsel Inc.のサービス提供は、上記にも書いたように1時間当たり3万円というレベルが報酬レベルです。

そしてこれらは、米国の弁護士業務とほとんど変わらない水準です。

彼ら自身も、弁護士のビジネスモデルを参考にしながら構築したと言っていました。

日本のFPで、作業の時間単価を3万円に設定している人はそれほど多くない印象です。

ファイナンスやコンサルティングのプロとしての報酬の在り方について、考えさせられることが多くありました。


今回の事務所訪問では、これまでには見たことのないようなビジネスモデルに挑戦している新しいタイプのアドバイス事務所を見学することができました。

そして、その事務所訪問をアレンジしてくれたNAPFAの事務局には大変感謝しております。


弊社でも、米国ですでに定着している感がある、金融商品販売ビジネスモデルから

顧客の資産管理型ビジネスモデルへの転換をしっかりと日本の顧客に提供して

それを定着させるのが使命であることを再確認しました。


次回もシカゴでみてきた内容を報告します。

米国を視察する意義について

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来週から毎年恒例の米国FP事務所視察、FPカンファレンスへの参加のために

1週間ほど米国シカゴに出かけてきます。

毎年のように米国に視察に行っておりますが、その中で何を学んでいるのかを

改めて少し考えてみました。



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①米国のアドバイスビジネスの発展の経緯を知る


小屋が10年前に初めて米国に訪問した時に、現在の弊社が行っているような

顧客の資産アドバイスビジネスが米国では広く普及していることを知りました。

そして、その米国のビジネスモデルを模倣しながら日本でアドバイスビジネスを

スタートしたわけです。

大体、日本の現在の金融リテールで起きていることは、米国で1990年代前半の

状況に似ていて、概ね30年程度歴史を遡った状態にあります。

したがって、米国の1990年代、2000年代、2010年代の30年間で

起こってきた変化を理解すれば、今後日本の金融リテール業界で起こる変化が

読みやすくなるのではないかと考えています。




②FPアドバイスの潮流について学ぶ


カンファレンスに参加していると、参加する年によってカンファレンスの中で

議論されているテーマが少しずつ変化していることを感じます。

マーケットが良い時には、資産運用のテーマが増えますし、悪い時には

顧客のメンタルコントロールやコーチングの話が増えたりします。

最近では、やはり米国でも高齢化や健康に関するアドバイスが増えている気がします。

また、FPビジネス自体も第一創業世代から30年程度経っていることもあって

後継者問題や、事務所のM&Aなどの話もテーマとしては大きくなっています。


こうした、業界の潮流を学ぶことで、日本でも同様の変化や潮流が起こることを

予測しやすくなると思います。




③事務所経営について学ぶ


米国では30年程度の歴史があるFP事務所が沢山あります。こうして長年継続して

経営されてきた事務所では、マーケティングや人材育成、採用など継続的に経営するのに

必要な経験やノウハウが溜まっています。

小屋も同じ事務所の経営者として、事務所経営の先輩方の試行錯誤を共有してもらうことで

失敗する可能性を減らしたり、試行錯誤する時間を短縮できたりしています。




④テクノロジーの採用について


米国では、アドバイザーの使うツールであるITツールがふんだんにあります。

これも、良いソフトウェアを沢山見ることによって、日本でも今後どのような

ソフトウェアを開発する必要があるのかを理解し、実際にそれを開発したり

採用したりすることで、差別化や先行利益を得ることができるだろうと思ってます。


ということで、今年も楽しみに米国出張に行ってきます。


その結果やフィードバックもこちらのメルマガなどで還元していきたいと思いますので

どうぞよろしくお願いいたします。

「幸せ」になれるお金の使い方

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私は仕事上、金融資産を沢山保有する方と日々お会いします。

その中で、やはり

「お金持ち」=「幸せ」

とは限らないなぁと感じています。

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米国のノーベル賞受賞の経済学者ダニエル・カールマンの研究でも

人は年収800万円(世帯では1,600万円)もらうと、それ以上は年収の多寡が

その人の幸福度には影響を与えないというものがあります。


つまり、独身で年収800万円、結婚している人は世帯で1,600万円ぐらいあれば

通常の生活を送ることについて、ほとんどお金の心配をせずに生活ができるし

それ以上のお金は、生活面で余分なお金であるとも言えます。


実際に私が顧客に接していても、世帯年収が2,000万円近くになると

ライフプラン上は問題がなくなるケースがほとんどです。


逆に言えば、年収800万円(世帯では1,600万円)までは、

収入が幸福度に影響するという事でもありますので、

それに達していない方々は、そこまではキャリアと収入について

しっかりと頑張ってあげていくことが自身の幸福感につながるとも言えます。


それでは、年収800万円(世帯で1,600万円)を超えてきた人々は何によって自らの
幸福度を上げているのでしょうか?


私が見ていて感じるのは

・消費に対してしっかりとしたスタイルがある

・人のためにお金を使う

という事がポイントだと思っています。

・消費に対してしっかりとしたスタイルがある

とは、お金を使う時に、しっかりとその生産物や商品に対して理解をして支払うことです。

私を含め、中小企業の経営者の方は心当たりがあると思いますが、


「似たような商品、サービスを購入したり利用するのであれば、顔の見える知り合いの
会社の商品、サービスを利用してあげたいな」


と考えるものです。

なので、例えば飲みに行くにしても、

チェーン店の居酒屋ではなく、知り合いがやっているお店を利用する

なんてことがよくあります。

これは、自分の消費するお金が、顔の見える関係のところへ落ちれば、

やはりその相手が喜んでもらえる、

そして自分自身がそのことで幸福感が上がるという事だと思います。



・人のためにお金を使う

とは、世の中の富裕層を見ていればよく理解できると思います。

孫正義やビルゲイツなど、自分で生涯使いきれないほどのお金や富を得た人をみると

自分で使いきれないお金は、寄付や慈善事業などにも利用していることがわかります。


これは、人や世の中の役に立つためにお金を使うことが、

自身の幸福感の増加につながっている に他ならないことを示しています。


なので、私たちアドバイザーの仕事も、ある意味では顧客の資産増加のお手伝いをしているわけですが

その中で、一定規模以上の資産形成に成功した方々には、このように


・消費に対してしっかりとしたスタイルがある

・人のためにお金を使う

ということを理解してしていただくことも、顧客の幸福感や満足度を上げていく

重要なアドバイスであると思って日々仕事をしています。

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出所)
国税庁「国税庁統計年報書」、総務省「全国消費実態調査」、厚生労働省「人口動態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」、東証「TOPIX」および「NRI生活者1万人アンケート調査(金融編)」、「NRI富裕層アンケート調査」などからNRI推計。



野村総合研究所の2017年の調査によると、推計ではありますが、日本には超富裕層(世帯の純金融資産保有額が5億円以上)が8.4万世帯、富裕層(同1億円以上5億円未満)が118.3万世帯、準富裕層(同5,000万円以上1億円未満)が322.2万世帯存在するようです。


当社は、個人向けの資産アドバイス業を行っていますが、相談にいらっしゃるお客様の大半はこの準富裕層と富裕層です。


資産運用のアドバイスをしている立場から、こうした富裕層の方々とお話をしていると下記の3つのタイプに分かれているような気がします。


1つ目は「これまで信用できる人に出会っていない」タイプ。

富裕層と接してきて一番かわいそうだと思うのは、周囲に取り巻く人間関係が良くないためにある種の人間不信に陥っているケースです。
つまり人と接していても、「自分」そのものが人気があるのか「自分の保有するお金」に人気があるのか自分で判断できなくなってくるケースです。
男性の場合、女性にもてている原因が「自分」なのか「お金」なのか不信になるのと同じ話ですね。
子供のころから富裕層である方々は、こうした人間不信感を幼少期のころから感じることがあり、それはそれで若いころの人格形成が大変だなと感じます。
読者の中には、「お金があれば幸せになれる」と思っている人が多いと思いますが、このような富裕層と会っていると「お金があれば幸せだ」とは限らないものだとつくづく思うのです。


こうした人間不信タイプは、資産運用の面ではあまりしっかりとした運用を行っているケースは少ないですね。周囲の人間が信じられないのだからそれも当然ですが。

多くの金融資産は銀行預金に眠っています。もっとひどいケースだと銀行すら信用できずに自宅でタンス預金や金庫預金をしているケースだってあるのです。


一方で消費については、周囲と関与せずに質素に暮らすパターンと、信用できないがゆえに自暴自棄的に消費してしまうパターンがあります。

後者の場合には資産運用ができずに消費してしまうので、富裕層であり続けるのは難しいです。


私が会った中では、まじめにコツコツと資産を形成して数億円の資産を築いたものの、あまり周囲に安心して相談できる人がいないのか、独力で勉強はするものの、資産運用にはほとんど取り組めていないという人がいました。

当社に相談に来るぐらいなので、資産運用のアドバイスを受けたいのだと思ったのですが、当社のアドバイスを真に受けることもなく、あまり信用されなかったのか、アドバイスを採用して実行するような節も見えませんでした。
ただし、倹約で資産を形成してきた方のようで、特段散財するようなことも無さそうなので心配はしていませんが、何となく全体的に寂しそうにはみえました。


2つ目は「わきの甘い」タイプ。

わきの甘いタイプは、基本的には善人ですよね。周囲によって来る人に対して性善説で対応するがゆえに、結果的に資産が減少していくことが多いようです。
典型的なのは、様々な人に出資や寄付を持ち掛けられ、「それは良い話だ」と素直に応じているうちに実際の手元にあった資産が氷のように溶けていってしまう、などです。


私が会った、経営が順調に行っている会社の社長の例ですが、やはり周囲に色々な儲け話や出資話を持ち掛けられ、あまり十分にわかりもしないのに応じているうちに、自分の資産があっという間に無くなってしまったということでした。今では反省してちゃんと会社を経営しながら再度自分の資産を形成することに慎重に取り組んでいる最中です。


3つ目は「王道の資産運用を実践している」タイプ。

こちらは代々資産を着実に承継している家庭などに多いですが、ちゃんと信用できるアドバイザーを見つけて、専門家と共に一緒に資産運用を検討して株式や不動産で着実な運用を心がける人です。
私が会った中では、不動産、株式、ビジネスのそれぞれの分野でしっかりと専門家にそれなりの報酬を支払いながら相談相手になってもらい、その中で自分なりの判断や結論を出していくという極めて合理的な行動をとっています。
しかし、富裕層の中でもそのようにしっかりと資産運用に取り組んでいる人は、おそらく少数派です。私が会う中での富裕層の多くは1つ目のあまり積極的には動かないタイプですね。


最近では、銀行が積極的に動いているので1つ目のタイプの人もこれまで以上に困惑気味です。先日ご相談に来られた女性も4億円程度の資産を銀行に置いておいたら、銀行が色々としつこく金融商品の営業をかけてきて「銀行の良いようにやられてしまっては大変」とご子息から当社の方に母親と一緒にこられて、相談を受けました。


以下では、富裕層の人が周囲の人に騙されないための3つのポイントをお教えしましょう。

【ポイント1】
この人は何から収入や利益を得ているのか考える

話し相手が信頼できるかどうかは、その人が何から収入や利益を得ているのか考えるのが一番簡単です。
証券会社の営業は、金融商品を売買する手数料から収益を得ています。保険会社の営業は、保険商品を購入する際の手数料から収益を得ています。不動産建築業は不動産を建築することで収益を得ています。
こうしたことを考えれば
証券会社の営業に相談すれば「金融商品を購入しましょう」、保険会社の営業に相談すれば「保険商品を購入しましょう」、不動産建築会社に相談をすれば「不動産を建築しましょう」という結論に誘導される可能性が高いことは明らかです。


【ポイント2】

この人はなぜ自分にこの情報を提供するのか考える


これは詐欺に引っかからないためのポイントとも言えます。儲け話と言われるものの大半は「なぜこの人は(自分がやるのではなく)儲け話を私にするのだろうか?」という事を考えれば儲け話自体が怪しいことがわかるでしょう。

本当に儲かる話であれば人に言うまでもなく、自分のお金で実行するか、確からしさが高ければ高いほど銀行などでお金を借りてやれば済む話になるはずです。
それが自分の耳にまで回ってくるという事は、実際には儲かる話ではないと判断するのが妥当といえます。


【ポイント3】

自分の運用の判断基準を持つこと


自分自身で運用の判断基準を持つことで、話を聞く聞かないを選べるようになると良いです。簡易的には株式のリターンが年率6~8%であることを知っていれば、それ以上のリターンがある話は株式投資以上のリスクがあるということを常識的な判断基準として持っておくと良いでしょう。


最後に、富裕層の方々にはぜひ特定の商品に誘導する必要のない人を相談相手に選ばれることをお勧めします。特定の商品に誘導しないという事は、きちんと相談に対して報酬を支払わなければいけないという事です。


海外でも、自分に合ったしっかりとしたアドバイザーを探すことが金融教育の最初の方で学ぶことの一つになっています。

こうしたプロフェッショナルサービスを有料で利用することのできる人が、ひいては自分の財産を守ったり増やしたりするのに成功して、ますます裕福になっていくようになっていくのです。

金融庁市場ワーキンググループの報告書で話題となった「2,000万円不足」というのは、総務省の家計調査(2017年)で高齢夫婦無職世帯の家計収支が平均で月5.5万円赤字なので、単純に20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要であると述べたものです。

そもそも元のデータとなっている家計調査とは、全国で9,000世帯を偏りのないようにサンプル調査し、分析しているものです。そこでの高齢夫婦無職世帯の平均という事なので、全国での数字を一括で平均算出をしていることから、都市圏に住む人にも、郊外に住む人にもどちらにも一生活者の実感としては、平均値では現実感のない数字になっていることが推察されます。


そこで、今回は全国平均値ではなく個々人のリアルな実感のある数字になるように少し考えてみましょう。


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まずは収入をみてみましょう。


ここでは年金である社会保障給付は191,880円が平均です。年金をもらっている人は夫婦2人でこれだけの年金をもらっているでしょうか?少し計算してみてください。

これ以上もらっているにしても、これ以下しかもらっていないにしても、現在の年金収入を確認するだけで平均値からどれほどかけ離れているかが理解できることでしょう。

また、収入には約13,000円ほど勤労、事業収入があるのが平均となっていますが、無職世帯なのだから多くの世帯ではこの収入は無いのではないでしょうか?


今度は支出を確認します。

最大の支出は食料費となっており、64,444円となっています。私はFPとして日々様々な家計の相談に乗っていますが、こうした食料費などは本当に世帯によって千差万別です。

ここでも恐らく2~3万円の世帯から20万円を超える世帯まで幅広く存在するのだと思います。

ここでも平均で議論するのではなく「あなた」の家計についてぜひ考えてみてください。

次に住居費を確認します。住居費は平均13,656円です。

これは私を含め実感値と大きくかけ離れるのではないでしょうか?原因は賃貸であれば単純に住居費として計算されますが、持ち家であればその住居費はほとんどかからないという前提で計算されていることにあるのです。

つまり、家計調査でサンプルとなっている60歳以上の高齢世帯は持ち家率が90%を超えているので、ほとんど賃貸物件に居住している世帯の数字はこの平均には反映されていないのです。

仮に65歳を超えて賃貸物件に住んでいる人は、この平均値からは大きく乖離すると思われるし、それも東京近郊と地方ではあまりにも大きな差があるはずです。


ということで、これまで述べてきたとおり、家計調査の平均値で語ることは報告書としては一定の意味があるのかもしれないが、「あなた」の状況を考えるのには何の意味もありません。


今回の報告書の件をよく考えてみると、私がwebを観ている限りにおいては、話題にしていた層は40代~50代の人々だったのではないでしょうか?なぜなら既に60歳以上の方々は実際に年金を受取り、現在生活をしているので、家計調査を見るまでもなく年金生活者としてのリアルな実感があるはずなのです。

その人々が架空の平均の話で語られる文脈に反応する必要はないのではないでしょうか。

そして若年層である20代や30代は、まだまだ老後の生活など想像もつかないし、ある意味で公的年金に対する期待値も高くない世代なので、こちらもあまり真剣に腹を立てるところまでいかないのではないでしょうか。

40代~50代の方々は、ある程度長期間公的年金を納めてきている人々です。またその一方で自分たちの老後の生活イメージというものが決してリアルに感じられるようにもなっていないでしょう。この漠然とした不安感が今回の怒りの真の原因ではないかと思うのです。


では、今回の報告書の件で不安を感じたり、怒りを感じた方々はどのようにしたら良いのでしょう?


答えは「見える化」です。


漠然とした不安は「見える化、可視化」されることで具体的な課題に転換することができます。つまり「老後にいくら年金がもらえて、いくら使っていくのかがわからない」「結果として老後のお金が足りるのかどうかわからない」という状態を「老後は〇円年金がもらえて、〇円使う予定なので、〇円資産を持っていれば足りる(あるいは足りない)」という事を明らかにすることです。

そのうえで、足りるのであれば安心できるし、足りないのであればそれは具体的にいくら足りないのかが明らかであるために、具体的な課題として時間をかけて取り組むことができます。


具体的に作業してみましょう。

まず、自分の将来の年金支給額はねんきんネットを見ればわかります。ねんきんネットのログインには最初登録が必要ですが、その登録情報は毎年届く年金定期便に書かれています。

50歳以上の人は年金定期便に年金支給額が推計されているので、その数字を把握することでもよいでしょう。50歳未満の人はねんきんネットの中の年金試算(簡易版)で概ねの推計額を知ることができます。



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当然、結婚している世帯であれば夫婦2人の年金額が重要であるので、それぞれログインして把握した推計額を合計して世帯の年金収入を把握することが最初の一歩になります。


収入がわかれば、次は支出です。こちらは簡便法として老後の支出を現在の支出の7割と仮定することで計算できます。これは各種アンケートから老後の生活が現役生活最後の支出の7割程度であるという回答が多いことから簡便法とします。

通常老後は教育費や住宅ローンの支払いは終わっていると思いますので、その支出項目は除いたうえで7掛けで良いでしょう。
人によって、住宅ローンの支払いが老後も残りそう、教育費も退職後もかかりそうという事情があれば、それは考慮する必要があります。




あなたが老後に必要な額=あなたの年金の推計額―あなたの生活費の推計額×30年


であなたの老後2,000万円問題が明らかになるはずです。


例えば、


夫婦の年金の推計額(20万円)-現在の生活費(30万円)×0.7=-1万円

月額1万円の赤字30年分=360万円


という具合です。これを65歳時点で保有していれば良いのではないか?という推計が成り立ちます。


ちなみにこの数字は私の現時点での推計額です。概ねこのぐらいの金額は用意できると思うので、「わたし」の場合は360万円問題(にはならない)という事です。

先月から、弊社主催でセミナーを開催しています。

普段コンサルティングやセミナーを通じて、一般の個人の方々で感じるのは


株式投資を「資産形成」目的でやっていなくて、「お小遣い稼ぎ」でやっているのでは
ないかと思っています。

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つまり、何が言いたいかというと

「資産形成」は、5年も10年、またそれ以上の時間をかけて、大きく資産を成長させていく
イメージです。数百万円や数千万円の試算を時間をかけて築いていくことは
誰にとっても可能な話です。


一方で「お小遣い稼ぎ」とは、数か月や数年単位で、数万円から数十万円儲かったら
売ってしまって、その利益でちょっとリッチな贅沢ができるというような捉え方を
しています。


この差が一番如実に現れるのは、投資金額の差です。


「資産形成」を目的とする場合には、目先の手元に必要そうな現金以外は
すべて運用に回していきます。

長期で資産形成をするのですから当然なことです。


弊社で基本的には年間支出額の半年分~1年分ぐらいの現預金があれば十分で

それ以外はすべて運用に回してしまっても良いと考えています。


「お小遣い稼ぎ」の人は、運用には少しの金額しか回しません。

もともとが数万円~数十万円の儲けが出れば成功だと考えているので
運用に回す金額も数十万円~数百万円と保有している金融資産のほんの一部を回すだけにしていますし、儲かったら資金を引き揚げてしまうので、長期で資産形成することにはつながりません。


運用は成長率で上手くいったかどうかを図るので

例えば50万円をお小遣い稼ぎで運用している人が、50万円の利益を得たいと思えば
100%の収益率が必要です。


そして、100%の収益率というものは、確立としてそんなにないですし、

ギャンブルや投機的な手法に走ってしまいがちです。


一方で1000万円を運用する場合、同じ50万円を稼ぎ出すのに必要な利回りは
5%です。


これであれば、一般的な株式でしっかりと運用していけば十分可能な数字となります。


このように、あまりにも多くの人が、短期的で投機的な手法に目が行くことが
どうにも残念でなりません。


しっかりと長期で「資産形成」目的で運用を行ってほしいと切に願います。

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小屋洋一Blog

株式会社マネーライフプランニング 代表取締役 小屋洋一

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代表取締役 小屋洋一

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