不動産
学生時代、吉野先生のゼミで何度も聞いた言葉があります。
「不動産バブルの時にはこの数字に着目すると良い」

2026年9月27日の日本FP学会で、
吉野先生が金融庁検査官の方々と発表された資料を読みました
(発表者個人の見解であり、金融庁の見解ではないと明記されています)。
読み終えて、今の不動産市況がより正確に理解できるようになりました。
あの頃ゼミで聞いた「数字」が、今の日本に揃っていたからです。
2008年の米国金融危機の前。
2020年前後の中国不動産ブームのとき。
先生は同じ視点で、不動産の過熱に警鐘を鳴らしました。
そして、どちらもその後不動産価格は下がりました。
米国はリーマン・ショックで。
中国は2021年頃をピークに、今も下落が続いています。
先生が見ていたのは、以下の三つのサインです。
総貸出に占める、不動産業向けと住宅向け貸出の割合。
・1985年 約15%
・バブル期(1989〜91年) 約21%
・2024年 約42%
バブル期の、ほぼ2倍です。
銀行は、マンションを「建てる側」にも「買う側」にも貸せます。
沢山貸すのに楽な業種です。
両方にお金を流せば、市場はいくらでもふくらむ。
この数字が大きく膨らんでいる際には要注意です。
住宅資金と不動産業向け貸出の、1年間の増加額。
・1986〜89年 年9〜11兆円前後
・2000年前後 年1兆円を下回る年も
・2024年 約12.8兆円
金額では、バブル期を超えました。
名目GDP比でも約2.1%。バブル期ピークの約2.6%に迫っています。
経済が育つより速く、不動産にお金が流れ込んでいる。
これが二つ目のサインです。
マンション価格が年収の何倍か。
・1990年(バブル期ピーク) 約10.3倍
・1990年代〜2000年代前半 約8倍
・2024年 約12.7倍
バブル期の天井を、とうに超えました。
買う人の実力を超えた価格。
それを支えているのは、実需だけではありません。
「値上がりしたら売ればいい」という、転売目的のお金です。
一つだけなら、説明はつきます。
建築費が上がった。共働きが増えた。都心に人が集まった。
どれも本当のことです。
でも、三つが同時に揃う。
銀行のお金が偏り、経済より速く膨らみ、価格が暮らしから離れる。
この形になったとき、不動産はバブルであることが多い。
米国がそうでした。中国がそうでした。
そして1980年代の日本も、そうでした。
バブルがいつ弾けるかは、誰にもわかりません。
先生も時期までは正確に当てられません。
わかるのは3つの条件が「揃っている」という事実だけです。
買う前に、一度立ち止まる。
持っているなら、不動産が下がった時に影響があるかないか考える。
どれも、今日からできることです。
ゼミを出て、もう何十年も経ちました。
それでも先生は、同じ場所で、同じ数字を見続けています。
私も改めて気づかせていただきました。