レポート

不動産

不動産バブルの三つのサイン

UPDATE 2026.09.30

学生時代、吉野先生のゼミで何度も聞いた言葉があります。

「不動産バブルの時にはこの数字に着目すると良い」

2026年9月27日の日本FP学会で、

吉野先生が金融庁検査官の方々と発表された資料を読みました

(発表者個人の見解であり、金融庁の見解ではないと明記されています)。

 

読み終えて、今の不動産市況がより正確に理解できるようになりました。

あの頃ゼミで聞いた「数字」が、今の日本に揃っていたからです。

 

■先生は、これまでと同じことを繰り返していました

2008年の米国金融危機の前。

2020年前後の中国不動産ブームのとき。

先生は同じ視点で、不動産の過熱に警鐘を鳴らしました。

 

そして、どちらもその後不動産価格は下がりました。

米国はリーマン・ショックで。

中国は2021年頃をピークに、今も下落が続いています。

 

先生が見ていたのは、以下の三つのサインです。

 

■サイン(1) 銀行のお金が、不動産に偏る

総貸出に占める、不動産業向けと住宅向け貸出の割合。

 

・1985年 約15%

・バブル期(1989〜91年) 約21%

・2024年 約42%

 

バブル期の、ほぼ2倍です。

 

銀行は、マンションを「建てる側」にも「買う側」にも貸せます。

沢山貸すのに楽な業種です。

両方にお金を流せば、市場はいくらでもふくらむ。

この数字が大きく膨らんでいる際には要注意です。

 

■サイン(2) 貸出が、経済の成長より速く増える

住宅資金と不動産業向け貸出の、1年間の増加額。

 

・1986〜89年 年9〜11兆円前後

・2000年前後 年1兆円を下回る年も

・2024年 約12.8兆円

 

金額では、バブル期を超えました。

名目GDP比でも約2.1%。バブル期ピークの約2.6%に迫っています。

 

経済が育つより速く、不動産にお金が流れ込んでいる。

これが二つ目のサインです。

 

■サイン(3) 価格が、暮らしの実力から離れる

マンション価格が年収の何倍か。

 

・1990年(バブル期ピーク) 約10.3倍

・1990年代〜2000年代前半 約8倍

・2024年 約12.7倍

 

バブル期の天井を、とうに超えました。

 

買う人の実力を超えた価格。

それを支えているのは、実需だけではありません。

「値上がりしたら売ればいい」という、転売目的のお金です。

 

■三つが揃ったとき

一つだけなら、説明はつきます。

建築費が上がった。共働きが増えた。都心に人が集まった。

どれも本当のことです。

 

でも、三つが同時に揃う。

銀行のお金が偏り、経済より速く膨らみ、価格が暮らしから離れる。

 

この形になったとき、不動産はバブルであることが多い。

米国がそうでした。中国がそうでした。

そして1980年代の日本も、そうでした。

 

バブルがいつ弾けるかは、誰にもわかりません。

先生も時期までは正確に当てられません。

わかるのは3つの条件が「揃っている」という事実だけです。

 

■だから、今できること

買う前に、一度立ち止まる。

持っているなら、不動産が下がった時に影響があるかないか考える。

 

どれも、今日からできることです。

 

ゼミを出て、もう何十年も経ちました。

それでも先生は、同じ場所で、同じ数字を見続けています。

 

私も改めて気づかせていただきました。