レポート

書評

書評「失敗の本質」

UPDATE 2025.02.26

先月の、2025年1月25日に

経営学者の野中郁次郎氏が亡くなったというニュースを目にしました。

野中さんの共著で有名な「失敗の本質

こちらは、太平洋戦争における日本軍の失敗を、様々な分野の専門家が分析し、

発表したベストセラーです。

 

初版は1984年とのことですが、私は大学卒業後の2004年ごろに読んだ記憶があります。

良い機会でしたので、私も20年ぶりにこちらの書籍を再度買って読み直してみました。

 

書籍の中では

ノモンハン事件

ミッドウェー作戦

ガダルカナル作戦

インパール作戦

レイテ沖解散

沖縄戦

の状況が具体的に取り上げられ、各戦闘において、日本軍がどのような判断の失敗を重ねていったのか

という事が考察されています。

 

その上で、日本軍の特徴として

戦略面では

目的が不明確

戦略が短期決戦指向

戦略が帰納的に考えられる

戦略オプション(範囲)が狭い(統合的ではない)

技術 一点豪華主義

組織面では

構造として集団主義(人的ネットワークに頼る)

統合 属人的(人間)関係

学習がシングルループ

評価が動機やプロセス重視

と評価し、米国は

戦略面では

目的が明確

戦略が長期決戦指向

戦略が演繹的に考えられる

戦略オプション(範囲)が広い

技術 標準化

組織面では

構造として構造主義(システム)

統合 システムによる統合(タスクフォース)

学習がダブル・ループ

評価が動機や結果重視

であったと評価しています。

これは、戦後80年たちますが、まだ現在の日本の組織を見ても、

特徴として残っているところが多いのではないかと感じます。

 

特に、日本の会社がバブル崩壊以降30年も停滞していたのは、

この組織的な特徴を自己で改革出来てこなかったことに

原因があるのではないかとも思えてきます。

ようやく2024年になり、日本株の株価も30年前の株価を上回るような状況も見え、

回復の兆しが見えてきています。

 

もしも、個別の株式を検討されるようであれば、この上記の組織の視点にも着目すると、

上手く戦える組織というものがどのようなものか

参考になるのではないかと思った本でした。