資産運用
先日のご相談での話です。
ご相談者は
「大きく増やしたいわけではありません。
でも、インフレには負けたくないんです」
と比較的保守的な運用をご希望の方でした。

これまでなら、こうした方には
「運用しないお金は、現預金のままで良いですよ」
とお伝えしてきました。
しかし、少し状況が変わってきました。
日本では長い間、物価がほとんど上がりませんでした。
預金にも国債にも、金利はほとんどつきませんでした。
お金を銀行に置いておいても、増えない。
でも、減りもしない。
そんな時代には、運用しないお金は現金で置いておくのが一番シンプルで、
安全な選択でした。
わざわざ国債を買っても、
預金とほとんど変わらなかったのでお勧めすることもありませんでした。
でも、今は違います。
ここ5年ぐらいの物価上昇率は、約2.3%の上昇。
皆さんも毎年、モノや食料品の値段が上がっているなという事は
実感されていると思います。
たとえば1,000万円を現金で置いておくとします。
物価が2.3%上がれば、1年で約23万円分、お金の価値が目減りし、
買えなくなる計算になります。
通帳の数字は変わりません。
でも、買えるものは確実に減っていきます。
「何もしない」ことが、安全とは言えなくなりました。
そこで今回ご提案したのは、
株式などで運用する部分はありながらも、
運用しない自半分以上の資金も預金ではなく
個人向け国債の変動10年にするという提案になりました。
前回、長期金利が3%を超えたというお話を書きました。
その影響で、個人向け国債の金利も大きく上がっています。
9月募集分の変動10年の金利は1.95%。
2024年1月には0.46%でしたから、
3年足らずで4倍以上になりました。
では、これでインフレに勝てるのか。
正直に言うと、国債だけでは少し足りません。
税引後の利回りは約1.55%。
1,000万円なら、1年で約15万5千円の利息です。
物価上昇による目減りが約23万円ですから、まだ8万円ほど届きません。
その足らない部分は株式で補う構成になっています。
また国債も、なぜ固定金利ではなく変動金利を選んだのか。
固定5年の金利は2.24%と、
今は変動10年よりも高くなっています。
ただ、固定は買った時の金利が満期まで変わりません。
一方の変動10年は、半年ごとに金利が見直されます。
物価が上がり、それに合わせて金利が上がれば、受け取る利息も増えていきます。
インフレに負けたくない、という目的を考えると、
この「後から追いかけられる」性質が大切だと考えました。
インフレに大きく引き離されない資産です。
国債が土台で、株式が上乗せ。
保守的な運用の場合には、この役割分担で、
全体としてインフレに負けない運用を目指します。
国債は国が元本と利息の支払いに責任を持ち、
発行から1年たてば換金もできます。
土台がしっかりしているからこそ、
上乗せ部分の値動きにも落ち着いて付き合えます。
金利のない時代には、「運用しないお金」は現預金で十分でした。
金利のある時代には、「運用しないお金」にも置き場所を考える必要があります。
守りの運用の設計が、静かに変わってきています。
皆さんの「運用しないお金」は、今どこに置いてありますか?