レポート

お金の専門家の提案が人によって違うのは困るという話

UPDATE 2025.06.11

こんにちは、松本です。

すっかり投稿が久々になってしまいました。

 

さて、日頃はお客様の資産アドバイスを行っている私ですが、

FP向けに提案書の構造を解説するセミナーを行いました。

日時は、5月31日、6月7日でした。

今回の記事では、

提案書解説セミナーの資料を作成する中で考えてたことを

共有していこうと思います。

 

セミナーでもお話した内容を何回かに分けて投稿しますが、

今回は表題の件。

「お金の専門家の提案内容が人によって違ったら困るよね」

という話をしていきたいと思います。

 

お金の専門家とは?

お金の専門家として活動している人は結構多いですよね。

ファイナンシャルプランナーとして活動している方。

証券会社、銀行などの金融機関の方。

保険会社の営業マン。

 

最近ではYouTubeやSNS等で

お金の教育をしている方も増えてきました。

 

ここで問題です。

 

そんな「お金の専門家たち」に

ある一人の相談者がお金の相談をした場合

専門家の人たちからの提案内容は一致するのでしょうか?

おそらく全く異なった提案が出てくると思います。

なぜかというと、皆さん視点が違うんですね。

 

私も仕事柄様々な業種の方と話しますが、

金融商品視点、保障視点、税務視点、支出削減の視点...

 

同じお客様に対しても、

どこの切り口で見るかによって提案内容は当然変わります。

 

全体をフラットな視点で分析・提案するのは実は難しいんですね。

 

部分最適と全体最適

例えば、部分最適の相談をしている顧客に対して、

部分最適の提案をするなら問題無いと思います。

水道光熱費削減専門?

 

世の中にいるのか分かりませんが、

「水道光熱費削減専門のお金の専門家」が仮にいたとして、

顧客が「水道光熱費を削減したい!」と相談に来たら

その分野のアドバイスをすればいいと思います。

 

このアドバイザーが水道光熱費のプロならば、

顧客の知りたいこと = アドバイザーが提案する内容

となります。

 

ですが、「資産全般の相談をしたい」という方に対して

アドバイザーごとに提案内容が違ったら困るわけです。

 

なぜなら双方の求めることにズレが生じやすいからです。

顧客の知りたいこと ≠ アドバイザーが提案する内容

お医者さんならどうでしょうか

医者だったらなかなか困る?

お腹が痛いと病院に行ったときに、

医者A:風邪なので風邪薬出しておきますね。

医者B:盲腸なので手術ですね~

医者C:今のところ問題無いので様子見ましょう!

 

こんな風にアドバイス内容が違ったら困ってしまいますよね。

何か大きな病気が隠されていたら大変です。

 

こんなことが金融業界でも起きやすいです。

せっかく「お金の専門家」に相談しても全く違う答えが出てくる。

これではいけないですね。

 

1人の相談者に対しては1つの答えがあります。

アドバイザーとして、ある程度一致する回答が出せないといけないです。

そんな話をセミナーでする予定です。

 

そのためには「客観的で正確な良い提案」を

定義付けていく必要があるのではないでしょうか?

 

ではどんな提案が良い提案なのか。

示していこうと思います。

 

「良い提案の基準」は何でしょうか?

良い提案の基準を打ち出したい

良い提案とは以下の内容だと考えています。

・結果として顧客の幸福につながるものであることは大前提

・経済合理性の高い提案内容がベースになっている

・顧客に対してカスタマイズさせたもの

・具体的な実行に移らせる内容

分かりにくいので図式化しました。

図式化するとこんな形です。

顧客の幸福に繋がることは大前提です。

 

その上で、一番大事なのは

図の最下段の経済合理的な提案がベースとなっていること。

 

では実際に経済合理的な提案とはどういうことか。

 

それは

・お金の流れ(キャッシュフローといいます)を改善すること

・保有する資産や借入の状況(バランスシートといいます)を改善すること

と言えます。

 

お金の流れと持っている資産・負債状況

この2つを最適化することが経済合理的な提案に繋がります。

 

ちなみにファイナンシャルプランナーの提案は、

お金の流れ(キャッシュフロー)視点のみで語られることが多いです。

 

例えば毎年の家計が赤字だから、

固定費の節約をしましょう!

というような例ですね。

 

今保有している資産や負債の状況(バランスシートといいます)

の話はあまりされません。

 

例をあげてみてみましょう。

お金の流れが同じ2人

例えばこんな人がいたとします。

年間収入が500万円

年間支出が600万円

毎年100万円の赤字になっている。

他の条件が同じならば

提案内容は同じになるのではないでしょうか?

そりゃそうだ、という話ですよね。

 

年間の赤字が100万円あるので、

どうにかして改善した方が良さそうですよね。

持っている資産が違うとどうでしょうか。

それでは、持っている金融資産が

上は全く無い状態。

下は1億円あると分かった場合はいかがでしょうか。

 

上の方は早急に赤字を削減しないといけないですね。

 

逆に下の方は、1億円あれば年間100万円の赤字は

そこまで大きな痛手ではないかなと思います。

つまり収支の改善は必要性が低くなります。

 

左側の青枠はお金の流れ(キャッシュフローといいます)の話でした。

右側の黄色枠は保有する資産状況(バランスシート)の話でした。

 

お金の流れと保有資産の分析は

セットでやらないといけないことが

お分かりいただけたかと思います。

 

この双方を最適化することが、

経済合理的な提案に繋がります。

これが良い提案のベースとなる考え方のお話です。

 

最後に

という訳で今回は

良い提案とは何かという軸で解説してみました。

 

じゃあ具体的に

お金の流れと持っている資産・負債状況を

どう分析提案すると良い提案なの?ってなりますよね。

 

今回は概念的な話に留めて、

具体的な内容はまた次回書いていこうと思います。