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今年に入って、医者であるクライアントさんとミーティングをしている中で
2回ほど健康保険制度について話題になりました。
その、両方共が現在の日本の健康保険(医療保険)制度の
限界についての話題でしたのでシェアしておきます。
一つは、民間医療機関の経営について
そこは、地方の民間医療機関でしたが、
医療保険制度の診療報酬の見直しで
年々経営環境が厳しくなってきているという話でした。
診療報酬の点数は上がらない(あるいは削減している)ので、
売り上げが伸びない中でコストとしてかかってくるものは、
近年の物価上昇、人件費の上昇を吸収できない医療機関が
とても増えている状況だとのことです。
もう一つは、最近開業をした開業医の話で、
こちらも開業後の経営がなかなか大変だとのこと。
人材の募集と、集客を含めて、なかなか経営が軌道に乗らないようです。
こちらも医療保険制度の診療報酬の改定などの影響が大きいという話でした。
両方とも共通しているのは、
日本の医療保険制度の財政的な限界が近いという認識を持っていることでした。
令和元年度のデータを確認すると
医療費全体で、44兆円
これは年々1兆円ほど増加しています。
この負担を
公費 38.3%
保険料 49.4%
患者負担 11.7%
しており、保険料や公費(税金)も毎年上がらざるを得ない状況です。
先日、自民党が提案をして通らなかった、
高額療養費の見直しはこうした医療費負担の削減の一環
であったのだと思います。
しかし、やはり反発が強く先送りになってしまいました。
本来は、この患者負担分を上げていくという話と、
医療費全体を抑制していくという2方面の取り組みが同時に必要だと
思いますが、なかなかその議論に踏み込んでいけないようです。
クライアントの話に戻ると、
両社とも話の中で、今後の医療機関のTOPには、
経営感覚と経営者としての能力が必要だという
認識で一致しました。
これまで、民間の医療機関は、あまり経営能力がなくても、
こうした医療保険制度の中で十分な報酬を得て経営できてきましたが、
今後は売上や利益などを意識した経営能力がないと、
病院経営もやっていけないという世界になっていきます。
開業医というと儲かる、高所得というイメージがありましたが、
これからは各病院の経営能力如何になっていきそうです。