レポート

資産運用

為替の動向について

UPDATE 2025.07.17

今回は、ドル円を中心とした為替の話です。

為替相場を決める要因の大きな一つとして、貿易収支、サービス収支の内容があります。

 

日本は長いこと、経常収支は黒字ではありますが、

現在その黒字の原因は第一次所得収支の黒字で

これは、日本企業が海外へ投資を行った結果、

そこからあがる収益が大幅に黒字であるという事ですが

 

この第一次所得収支の黒字に関しては、

そのまま外貨建てで再投資されていることが多く、あまり

実際の為替の水準に影響を与えることは少なくなっています。

 

一方で貿易収支やサービス収支は実際にその支払いで決済している

という意味合いでは実需で為替が取引される要因であり、

 

貿易黒字→円高   貿易赤字→円安

サービス黒字→円高 サービス赤字→円安

に動かす要因になります。

 

近年は、この貿易収支やサービス収支が継続的に赤字であり、

こうしたことが為替を円安方向に向かわせています。

 

一昔前の日本では、為替が円安に向かえば、輸出が伸び、

貿易黒字に戻ったものでした。

 

しかし、現在の日本では円安に振れても、海外生産も増えている状況では、

そこまで急激に輸出が伸びることもなく、輸入するエネルギー価格が高くなり

貿易赤字もなかなか黒字化してきません。

 

サービス収支に関しては、インバウンドで訪日観光客の増加、

一人当たりの旅行者の消費が伸びていることもあり、

徐々に改善傾向が見られます。

 

一方で、日本人が通常使っているPCやスマホのコンテンツ、

アプリは海外で作成された商品が多く

デジタル赤字と呼ばれる、海外サービスの利用が年々増加しています。

 

こちらのインバウンドの収入とデジタル赤字の効果が、相殺しあって、

こちらもなかなか黒字化していきません。

 

さらに、米国のトランプが日本に対して求めていることは

米国の対日貿易赤字の減少(日本からの輸出を減らし、米国からの輸入を増やす)

米国への直接投資の増加(米国に工場を造れ)

 

という内容ですので、米国が求めている内容が実行されることになると

ますます、円が売られ、ドルが買われる展開になりそうです。

 

経常収支の統計は毎月発表されていますので、今後もその数字を追いかけていきますが

現状では円安ドル高の流れがしばらく続きそうです。