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こんにちは、松本です。
先日、米国ミネソタ州ミネアポリスに行ってきました。
目的は2つ。
全米のFee-onlyのアドバイザーで構成されたNAPFAという団体のカンファレンスへの参加。
そして現地のファイナンシャルアドバイザー事務所訪問です。

今回私はデルタ航空でミネアポリスへ向かいました。
日本からはおよそ14時間。
なかなかの長旅です。

ミネアポリスは地図でいうとこんな感じ。
カナダ寄りなので5月初旬とはいえなかなか寒い。
街の雰囲気は比較的落ち着いた地方都市といった印象。
治安も極端に悪い印象はありませんでしたが、
車社会ということもあり日中の人通りは少なめ。
時間帯によっては少し緊張感もあります。
オフィス街ですが、コロナ禍以降でリモートワークが定着した企業も多いとのことで、
テナント募集の張り紙も目立ってました。

さて本題です。
今回私が視察に行ったのは、
アメリカのファイナンシャルアドバイザー団体、NAPFAのカンファレンスです。
NAPFAは、The National Association of Personal Financial Advisors の略称で、
顧客と事業者の利益相反が起きにくい顧問報酬型(Fee-Only)の
アドバイザーで構成されている組織です。

Fee-Onlyのアドバイス。
と言われても、そもそも金融業界がどのような売上構造なのか、
ご存知無い方が多いと思います。
金融業界の売上構造は、大きく分けてコミッションとフィーに大別されます。
一般的なものがCommission=販売手数料です。
例えば証券マンで言えば、金融商品を販売すると数%が会社の売上になる。
というようなイメージ。
日本の金融業界では、このコミッション型が主流と言ってよいでしょう。
日本では、資産運用や保険の相談というと、「無料相談」が一般的です。
実際には、多くのケースで相談後に購入する保険や投資信託などの
販売手数料(Commission)がアドバイザーの収益源となっています。
これにより、「相談」と「商品販売」がセットになっているケースが非常に多い
ということです。
これに対してFee=専門サービスへの報酬、顧問料、相談料のことを指します。
相談する対価として報酬を支払う、年間顧問料を支払うといった形です。
もちろん、Commission型そのものが悪いわけではありません。
実際に、顧客本位で活動されている営業担当者やアドバイザーの方も数多く存在しています。
ただ、Commission型は商品販売によって収益が発生する以上、
「アドバイザーは自社の売上に貢献する商品提案になりやすい」と言えます。
平たく言えば、会社の方針で販売する商品も変わるよね。といったところです。
「販売側の利益」と「顧客にとって本当に最適か」が
完全には一致しない場面が起こり得るのも事実です。
そのため米国では、「利益相反をできる限り減らそう」という考え方から、
販売手数料を受け取らず、アドバイスフィーのみで成り立つFee-Onlyというモデルが
1990年代頃から少しずつ発展してきたそうです。

私は正直、米国ではFee-Onlyがもっと主要なものだと思っていました。
ですが、今回現地で話を聞く中で印象的だったのは、
「米国でもFee-Onlyは少数派。しかしながら確かなマーケットを築いていた」
ということです。
講義の中で紹介されたアメリカのアドバイザー業界はこんな形だそうです。
アメリカのファイナンシャルアドバイザー(証券や銀行といった金融機関を除く)は30万人。
2025年時点で、米国のCFP®認定者数は約10.7万人。
Fee中心のアドバイザーが4~5万人。
NAPFAのメンバーは(Fee-Only)4,500人程度だということです。

NAPFA SPRING 2026 NATIONAL CONFERENCE 資料より引用
※NAPFAのメンバーになるにはFee-Only徹底、顧客本位の運営が必須、
高い倫理基準等条件が厳しい。
少数派でありながら、彼らには非常に強い存在感がありました。
特に印象的だったのは、アドバイザーという仕事に対する誇りです。
会場には、ファイナンシャルアドバイザーを目指している大学生や
大学院生も多く参加していました。
実際に話した大学院生は、「社会的役割が大きく、
収入面でも魅力があるからこの仕事を目指している」と話していました。
特に収入面に関しては、
日本円に換算すると年収数千万円程度の事務所に入ると言っていた
大学院生もいたのが印象的でした。
日本では、FPや金融営業というと、
まだ「保険販売」「証券営業」というイメージが強い部分もあります。
しかし米国では、“人生に伴走する専門職”として認識されている空気を強く感じました。

もう一つ印象的だったのは、アドバイザーの役割の広さです。
米国では、資産運用(アセット管理)を中心としながらも、
相続・信託・事業承継など、より複雑な課題に対して、
弁護士や税理士などの専門家と連携しながら、
ファイナンシャルアドバイザーが全体の指揮を取る役割を担っているとのことです。
実際に現地のアドバイザー事務所を訪れた際にも、
そのような役割を担うことを話していました。
単に金融商品を提案するだけではなく、
「顧客の人生全体に伴走する専門職」として機能していたのです。
これは弊社でも目指すところであり、
実際にそのような関わり方をしているお客様も多くいるので、
参考になりました。
またアメリカでは多くの人に相続税が掛からないため、
資産をどのように承継するかというテーマも重要性が増しているとのことでした。
米国特有の信託を活用した資産承継の話などは、
日本でも今後重要性が高まっていくテーマだと感じました。
日本では今後10年以上かけて、団塊世代からの大規模な資産移転が進んでいきます。
その中で、資産運用だけでなく、
相続・家族間調整・専門家連携などを含めた総合的なアドバイスへの需要は、
今後さらに高まっていくのではないかと思います。

White Oaks Wealth Advisors(現地のアドバイザー事務所訪問の写真)
今回のカンファレンスでは、AIについてのセッションも数多くありました。
AIによって、
・情報収集
・商品比較
・シミュレーション
などは、今後ますます効率化されていくと思います。
一方で、
・相続
・家族関係
・感情
・意思決定
・行動変容
など、人間特有の複雑なテーマについては、
むしろ「人間のアドバイザー」の価値が高まっていくのではないかと感じました。
例として、50代の経営者の方を想定してみます。
事業は順調に業績を伸ばしているが、事業承継候補はまだ決まっていない。
60代半ばでリタイアを早めにしたいと考えていて、退職金準備もしていかないといけない。
自身の親の相続が今後予想されるが、親の資産を全く把握していない。
兄弟間で揉めたくない。自分の住宅ローン支払いもしばらく続く中、
子どもの教育費もしばらくかかる。
資産運用もしていく必要があると感じている。
で、これは誰に相談したらいいのか…
このように、いくつかの論点があり自分で整理するのが難しいといった方には、
AIではカバーしきれない領域をアドバイザーが担うことができるのではないかと思います。
特に、より高度で複雑な案件になるほど、
「誰に相談するか」が重要になる時代が来るように感じました。

今回の視察で、日本のアドバイザー業界は、米国と比べるとまだ発展途上の部分が多いことを実感しました。
もちろん、日本と米国では文化や市場環境が大きく異なります。
日本ではまだ、「相談にお金を払う」という文化は一般的ではありません。
しかし、新NISAや高齢化、相続問題などを背景に、
中立的な立場で相談したいというニーズは、
今後さらに増えていくように感じています。
また、国民の金融リテラシー向上とともに、
Feeベースのアドバイス文化も少しずつ広がっていく可能性があるのではないかと思います。
今回の米国訪問を通じて、アドバイザーという職種を広めていく必要性と、
同時に焦りやもどかしさも感じました。
私自身も、この価値を広める一助になれるよう取り組んでいきたいと思います。

セントポール大聖堂
最後に少しだけ観光もできました。
写真はミネアポリスの隣町、セントポールにあるセントポール大聖堂。
今回の訪問の中で最も印象的でした。
ビジネス都市であるミネアポリスに対して、
セントポールは静かな住宅街と歴史的な街並みが共存している落ち着いた雰囲気。
大聖堂周辺も非常に穏やかで、荘厳な建築と静かな空気感がとても印象に残っています。
個人的には、ミネアポリスよりもセントポールの方が気に入りました。
