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昨年の11月に金融商品取引法の一部が改正され、2024年から金融経済教育推進機構
という組織が発足することになりました。
今までは、国会で説明される程度の概要に関する資料が公表はされていましたが、
昨年12月に金融庁より金融経済教育推進機構の全容という解説が公開されました。
そこでは、機構の組織自体は9割以上が民間の金融機関(主に銀行、証券会社)から拠出され
官民一体となって運営されることが示されています。
理事長は内閣総理大臣の任命、理事や委員は理事長が内閣総理大臣の認可を受けて任命するそうです。
事業内容は、
1)学校、企業などへの講師派遣、教育
2)個人からの個別相談
3)教材・コンテンツの作成
4)調査研究
5)顧客の立場に立ったアドバイザーの育成
などが挙げられています。
私が注目しているのはもちろん⑤の顧客の立場に立ったアドバイザーの育成です。
15年間そのようなアドバイザーを仕事としてきて、
現在の日本にこのような顧客の立場に立ったアドバイザーが
まだまだ量・質ともに大幅に不足していることを痛感しているから、
このような国家を上げての取り組み自体には
非常に期待しています。
一方で懸念もあり、最初に説明したように、今回の機構の設立に伴って、
資本も人員も銀行業界や証券業界が協力する
取り組みを前提としています。
その中で、いかにガバナンスを国が握るといえども、
銀行・証券業界の影響を排除することはできそうにもなく
影響がある場合には、この顧客の立場に立ったアドバイザー(金融商品を販売しない)という
構想自体が骨抜きにされてしまうことを危惧しています。
実際に、日本弁護士連合会が2023年12月15日に金融経済教育の理念に沿った
を公表しています。
ここには、上記のような金融機関主導の運営になっていった場合には、
国民経済にむしろ悪影響を与えてしまう事も懸念した意見書になっており
その意味では、私の懸念している点と同様の指摘をしています。
実際には、4月からの機構開設の為に、関係各位が必死に作業を進めていると思うので、
その推移を慎重に見守るしかない状況ですが
私や弁護士会が懸念している点が杞憂に終わり、
良い金融経済教育が進んでいくことを期待しています。