レポート

不動産

収益不動産建設のワナ

UPDATE 2022.08.08

今回はクライアントさんの相談事例をお伝えします。
株ではなくて不動産のおはなし

今回の相談は、父親の相続対策で、父親が高齢で介護施設に入所したので
その間に自宅を解体し、収益不動産を建設しようとしているお客様の相談です。


相談者としては

・父親が介護施設に入所して自宅を利用しなくなった

・相続地策として「賃貸不動産」を建設すると、土地の評価を下げられるだろうと思っている

・父親名義で借り入れをすればさらに相続税を下げられると思っている

という状況と思惑でした。

お話を伺ったうえで、まず気になったのは

土地に賃貸不動産を建設するのが本当に相続対策になるのか?

という点です。

税理士さんに相続税を試算してもらったところ

賃貸不動産を建設して借り入れを行う < 現状の自宅のまま < 建設中に父親が亡くなる

ということになりました。

父親の状況がそれほど良くないという状況でしたので、場合によっては建設中に父親が亡くなってしまい

現状よりも相続税が高くなるリスクも十分にあるという事を理解することが必要でした。

そして、最も大切な建設する不動産の収益性です。

残念ながら今回のケースで、デベロッパーから提示された収益率は5%程度で、とても収益性が低く

このままでは、建設後のキャッシュフローの安定性が見込まれない試算になっていました。

しかし、クライアントのご夫婦は、収益性の分析やキャッシュフローのことがあまりよくわからないので
このまま計画を進めてしまおうかと考えておられるほどでした。

もし、このまま計画を進めてしまうと、多少の空室が出る、経年に従って賃料が下がってくる、金利が上昇する
などの変化が起こると、すぐにキャッシュフローが赤字になってしまう状況にもかかわらず
あまり理解されていませんでした。

また、デベロッパーの収益試算表をみると、税引き前の数字しか出ておらず、税引き後の収益は書かれていませんでした

これも、誤解を生ずる一因になっていると思います。

【今回のポイント】

・(本人たちは)相続税対策のつもりでも、本当に対策になっているかどうかは、試算をしないとわからない

・素人の人がデベロッパーに不動産の収支計画表を説明されても、あまり内容は理解できない

・結果的に建設後に失敗する事例に事欠かない

ということを意識してほしいと思います。