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セミナー報告

第1回初心者向けセミナー 投資信託には資産運用の基本がつまっている

UPDATE 2022.05.27

初心者向けセミナー第1回目は、投資信託についてお話しします。その前に、このセミナーシリーズのコンセプトについてご紹介しましょう。われわれが普段お客さまとお話ししている中で、「資産運用をもうちょっと基本的なところから勉強したい」といった声もたくさんいただきます。その声にこたえるため、投資のことを何も知らない初心者さま向けにきわめて初歩的なところから資産運用を説明していくのが、このシリーズです。
さて、投資信託という商品自体は皆さんも聞いたことがあるでしょう。すでに利用している方もいらっしゃるかもしれません。なぜ資産運用に投資信託を利用するのか、その理由を知っていただきたいと思います。

リターンを得るための上手なリスクの取り方がある
――資産運用の基礎その①:分散投資

まず大事なこととして、「運用の基本は分散である」ということをお話しします。リターンを得るにはリスクを取らなければなりませんが、資産を分散して投資することで上手にリスクを取ることができます。このとき何のリスクを取るのかが重要です。取っていただきたいリスクは、市場全体のリスクです。株式市場には不景気になれば株価が下がるというリスクがあります。逆に債券であれば、景気が良くて金利を上げていくフェーズで価格が下がってしまいます。では、どの市場のリスクを取れば将来の成果が期待できるでしょうか。実際のところ、将来のことは誰も分かりませんし、予測してもそのとおりになるかどうか保証もできません。われわれがお客さまにご説明するのは「将来には4つの可能性がある」ということです。
その4つとは、「インフレ・円高」、「インフレ・円安」、「デフレ・円高」、「デフレ・円安」です。これらの可能性のいずれにも対応できるよう、資産をいくつかの市場に分散して投資することで、非常にバランスのいいポートフォリオが組めます。具体的には、インフレのときには株式や不動産がリスクに強く、デフレのときなら預金や債券の金利で稼いでいくことができるでしょう。円安時は外貨建ての資産が、円高時は円建ての資産がリスクに対応できます。日本人の資産は円預金に偏っている場合が非常に多いです。「円預金以外にも分散させた方がいい」と、お客さまにはよくご説明しています。
取ってはいけないのは、銘柄固有のリスクです。例えば、株を一つの銘柄に絞って何千万円も投資した場合、その企業に何かが起こったときには大打撃を受けてしまいます。50銘柄ぐらいを持つと全体としてリスクはだいぶ抑えられますが、個人投資家で50や100の銘柄を買うというのは現実的ではありません。ですから、少額の投資で資産を分散させることができる投資信託をお薦めするのです。

今日明日の成果に一喜一憂してはいけない
――資産運用の基礎その②:長期投資

次に長期投資についてお話しします。運用は、短期間では安定した成果が出にくいものです。可能であれば10年単位のスパンで、難しければ少なくとも5年は運用することが基本です。そして、「ちょっと上がった」「ちょっと下がった」と一喜一憂するのではなく、「5年後に20%増」、「10年後に1.5倍増」といったイメージを持って取り組んでください。実際のところ、5年ぐらいの運用ではうまくいかないケースもあります。2008年にリーマンショックがありましたが、前年の2007年の株価はなかなか好調だったので、ここで運用を始めてしまった方は少なくありませんでした。2003年から2004年ごろに始めた方などは、まさに5年後にどん底を迎えてしまったわけですね。でも、20年間運用していただいていて、かつ先にお話ししたように資産を分散して投資された方は、過去のデータを見てもちゃんと結果が出ています。繰り返しますが、長い時間にわたって軸を見すえて資産をちゃんと分散し、かつ投資先の市場も分散していただければ「間違いなく」とは言いませんが、ほぼプラスの成果は出せると思います。

 

理想のポートフォリオ、一人で組めますか?
――資産運用の基礎その③:個人投資家の限界

3点目に知っていただきたいことが、「個人投資家の限界」です。最初のほうで、50銘柄から100銘柄に分散して投資すればリスクは抑えられると話しました。また、日本の株式だけでなく海外の株式や債券なども持って市場を分散させるのがいい、ともお話ししました。ですが、個人投資家の方がそれぞれの銘柄や国内外のマーケットを調査するというのは、どこまで現実的でしょうか。個人が自力でポートフォリオを組むのは難しいのです。だから「投資信託を使って資産を分散させて運用をしましょう」という話になっていくわけですね。
確かに個別の銘柄を売買するのが楽しい、という部分はあります。もちろん、趣味として個別の株も運用されること自体は否定いたしません。でも、個別の銘柄で成績を出そうと考えてしまうと、どうしても個人では限界があります。ですから、例えば1千万円のうち900万円ぐらいは投資信託で運営し、残り100万円のご予算からお好きな株を持ってください。こうすれば、銘柄固有のリスクを負うことになるのは元の資産の10分の1程度です。この配分が逆になってしまうとダメですね。資産の9割をお好きな銘柄に投資して残り1割は投資信託で運用する。これはお薦めできません。銘柄固有のリスクが大きすぎます。

投資信託なら100万円でバランスのいい運用が可能
――資産運用の基礎その④:投資信託の特徴

最後に投資信託の特徴について、ここまでお話ししてきた資産運用のポイントをふまえてご説明します。
個人投資家の方が上手にリスクを分散して長期で運用していくとすれば、やはり投資信託が一番運用しやすいです。投資信託の仕組み自体はご存じの方も多いかもしれませんが、ざっくりご説明いたしましょう。先ほど100銘柄くらいの株を持てばリスクは分散できると言いましたが、だからと言って、それだけの株を買うには何十億というお金が必要になります。これは個人投資家には大変な金額です。投資信託では、個々の投資家からは少額ずつ集め、最終的に大人数からまとまった大きな額のお金を集めて運用してもらうことになります。例えばひとり100万円ずつ集めるとして、千人ぐらいから集めれば総額で10億円ぐらいのボリュームになります。こうすることで、一人当たりの投資額は100万円でも100銘柄にリスクを分散させたポートフォリオが組めることになります。極端な例ですが、最近は100円から買える信託もあって、理屈上はご自分の100円を世界中の何千もの会社に分散して投資できる仕組みになっています。債券も同じです。個別の債券を買われる方が特に注目されるのが利回りですが、利回りが高いということは逆にリスクも高いということです。そういう意味でも、リスクが分散されている債券型の信託がお薦めなのです。

ということで、今日は資産の分散運用や投資信託のことをお話いたしました。繰り返しますが、われわれが考える運用の基本方針は、リスクをうまく分散し長期スパンで運用していただくということです。このような運用を目指す上で、投資信託は非常にお薦めです。