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セミナー報告

第3回初心者向けセミナー 株が増える仕組みを押さえて資産を増やす

UPDATE 2022.12.06

初心者向けセミナーの第3回目、今回は株式を取り上げます。
私たちは基本的に、資産運用には株をおすすめしています。というのも、理屈の上で増えやすいのは株なんです。極端なことを言えば、資産全部で株を買って長い間持っていただければ、お金は増えていきます。今日は「株を長く持っておけば増える」という、株の本質的な理屈について理解していただきたいと思います。

【動画はこちら】
https://youtu.be/Ll8GkLG1dD4

基本の仕組み「会社がお金を集める→利益が上がる→利益の一部が出資者に還元される」
――株はなぜ増えるのか①:配当でお金が増える

まず、株とは何でしょうか。会社が事業を運営するには莫大な資金が必要です。そこで、会社はいろいろな人からお金を集めて、その資金で経営をします。その時、お金を出してくれた人には「株式」を株券の形で売ります。株式はいわば会社の権利の一部で、その権利の一つに「利益が出れば、その分は皆さんに還元する」というものがあります。要するに、なぜ出資するのかというと、会社の利益の一部を自分に還元してもらえるからなのです。資金を提供した人のことを株主といい、株主に還元される利益の一部を配当と言います。株式会社が株券を売って皆さんからお金を集め、事業を運営する。実際に利益が出たら、株主の皆さんには配当の形で還元される。これが株の基本的な仕組みです。

配当をどのくらい出すか、出さないかはそれぞれの会社の判断ですが、そもそも儲かっていなければ配当は出せません。でも、われわれが株を買うときは、基本的に儲かっている会社の株を買いますから、その時点である程度の儲けを想定しているわけですね。ただ、配当がゼロの会社の中には、会社がまさに儲かっているところなので今年の利益を引き続き使わせていただく、そうすれば来年はさらに増やして配当が出せる、という会社もあります。なお、いまの日本企業の平均的な配当金は元本の2%ぐらいです。

さて、皆さんが投資しているファンドなどは、基本的に配当はそのまま次の年の運用に回すというスタンスです。つまり、100万円を投資して配当金2万円をもらったら、次の年は102万円を投資することになります。そうすると翌年は、102万円の1.02%で、投資金額が104万400円に増えます。さらに翌年は104万400円の1.02%で、106万1,208円に増えます。このように配当分を再投資していくことで、単純に2万円が積み上がっていくのではなく、配当金にも配当金がつく増え方をするわけですね。最初の100万円の投資に対して毎年2万円ずつ配当が出るだけだったら、元本を回収するのに50年かかりますが、実際は配当金の部分も再投資するので、回収はだいたい35年ぐらいです。これが、株式を長期で持っておくと増えやすい理由の一つです。株価が1円も上がらなくても、配当の再投資で、35年で倍になるという感覚で考えるんです。1、2年の株価の動きをどうこう言うわけではないんですね。

ところで、ここまでの話では配当を2万円と固定して説明しました。多くの会社は、基本的には成長して売り上げも利益も伸びていくものです。配当は利益の一部ですから、利益が伸びれば、当然、配当額も大きくなっていきます。日経平均の225社の配当は1993年当時100円に満たなかったのですが、今年は600円です。配当額自体がこの30年で6倍ぐらいになっているんです。だから先ほど「35年で元本は倍になる」とお話ししましたが、実際にはさらに短期間で倍になります。

基本のセオリー「会社も株も長い時間をかければ必ず成長する」
――株はなぜ増えるのか➁:超長期的に見れば株価は必ず上がる

ここまでは配当のお話でしたが、株価もまた、長期的に見れば上がっていきます。ここでは、信越化学工業さんという大手化学メーカーを例に説明します。
同社は1949年、戦後間もないころに上場しました。この時の株価は50円でした。20年後、株価は100円に上がっています。この時点で配当は10円で、100円に対して10%と、ちょっと信じられないくらいの利回りです。でも、1950年に株価50円で買った人は、1970年まで20年間持っていたら、50円の投資に対して配当金10円が出るようになっているので利回り20%です。しかも株価も倍になっているんです。1990年の株価は2千円で、40年で40倍にまで増えたことになります。そして現在は1万6千円ぐらいです。1990年代に投資したとしても30年で8倍、1950年から70年持ち続けた人は300倍になっているのです。

ポイントは、この会社が1940年代に上場した時点では半導体のシリコンウェハーを作る会社ではなかったところです。でも、時代の流れを読んで株主としてこの会社のビジネスに関与していれば、50円が70年かけて300倍になるんですね。これが株でお金を作る秘訣です。株の醍醐味です。
もちろんこのような企業を一発で当てることができれば一番いいのですが、それはなかなか難しいですから、いろいろな会社に分散して投資してください。大当たりの会社もあるかもしれないし、ダメな会社もあるかもしれません。でも、”普通当たり”の会社でもかなり成長します。70年持ち続けるのは難しいかもしれませんが、30年ぐらい持っていればプラスになります。私たちの感覚では、20年から30年スパンで投資を続けていて損をするイメージはありません。

株価が上がり続ける理由はほかにもあります。日本だけを見れば人口が減っているので、1人がもっとお金を使わなければ企業の売り上げも伸びていきません。でも、世界を見てください。世界の人口は現在80億人ぐらいでしょうか。まだ増えていますから、サービスや商品の需要も高まり続けます。ということは、企業の売り上げも利益も伸び続けるのです。そこを素直に受け取って、グローバルな企業に投資をしてください。

まとめ 株は一番お金を増やせる方法

最後に、株に投資することでどのくらい増えるものなのかお話しします。見ていただきたい指標はEPSです。これは、投資した一株あたりどのくらいの利益が出るのかという指標です。この数字はPERという指標の逆数、つまり1÷PERで出せるのですが、これが日経平均でいま7.9%です。ざっくり言って、日本の企業の株に投資しておいたら1年間で7.9%ぐらい増えるのです。

そもそもなぜ投資をしたほうがいいのでしょうか。トマ・ピケティが書いた『21世紀の資本』という本があります。ここに書かれているのは、過去の歴史のどの時代をとっても、資本化や株主のお金の増え方と労働者の賃金の増え方では、前者のほうが増えやすいということです。給料も、例えば日本の高度経済成長期では、1950年代の初任給8千円からバブル期の1990年代には20万円へと、20倍から30倍くらいに増えました。でも、これが株価になると、1950年の日経平均株価85円が1990年に3万8千円です。400倍以上あるわけです。この格差は時間が経つほど、どんどん増えていきます。
繰り返しますが、株に長く投資してもらうのが一番簡単にお金増やす方法です。