「FPは相談してくれる人の人生に深く、永く携わっていく仕事。」新人FPが代表小屋の考え方、想いを深堀りしました。-前編 「FPは相談してくれる人の人生に深く、永く携わっていく仕事。」新人FPが代表小屋の考え方、想いを深堀りしました。-前編

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「FPは相談してくれる人の人生に深く、永く携わっていく仕事。」新人FPが代表小屋の考え方、想いを深堀りしました。-前編


UPDATE 2021.12.30

「FPは相談してくれる人の人生に深く、永く携わっていく仕事。」新人FPが代表小屋の考え方、想いを深堀りしました。-前編

マネーライフプランニングはどういう会社で、代表の小屋洋一さんはどんな考えから日々のコンサルティングを行っているのでしょうか。
今回は、2020年に入社したばかりのジュニアアドバイザーの碓井遥香さんが、小屋さんにストレートな疑問を投げかけていきます。独立までの経緯、ファイナンシャル・プランナーの仕事、マネーライフプランニングの今後について聞きました。

独立を見据えて選んだ転職先が、不動産業界。
仕事をしながら不動産と社長業を勉強させてもらいました

碓井:小屋さんはいつ頃から独立を考えていたんですか?

小屋:僕は父も母も親戚も会社員のサラリーマン家系で育ったので、新卒時は「サラリーマンになるのが当然」とリース会社に営業職として就職しました。だから、当時は「独立」をまったく考えてなかったんですね。
それが変化したのは、リース会社で新規の顧客を開拓する業務に関わることになってから。飛び込み営業も含めた新規開拓先は、いわゆる中小企業のオーナーでした。飲食店、書店、スーパー、ドラッグストア。数十人規模の会社だと、財務担当者は社長本人のことが多くて、新人時代からほぼ毎日、中小企業のオーナーと面談していたんです。
そのときに、オーナーにはおもしろい人、ちょっと変わった人が多くて楽しいなと感じたんですよね。会社の同僚、先輩、課長、部長とはまた違う印象で、僕も「いつか中小企業のオーナーをやってみたい」と思い始めたんです。それが、碓井さんと同じく新入社員として働き始めて、1年目、2年目のこと。

碓井:最初からファイナンシャル・プランナー(以下、FP)として独立しようと思っていたわけではないんですね。

小屋:そうですね。ただ、同じ時期にFPにつながっていくもうひとつ別のきっかけもありました。それは当時ベストセラーになっていたロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだこと。営業アシスタントの女性が、「小屋さん、お金の話好きだからこの本、気にいると思うよ」と貸してくれたんですよね。
読んでみると、お金持ちになるには「サラリーマンをやっていたらダメだ」「ビジネスオーナーになるか、投資家になるかしないよ」と書いてありました。運良く毎日、ビジネスオーナーと話す機会があって、おもしろそうだなと思っていた時にこの本に出会いました。
結果的に、新卒2年半で最初の会社を辞めました。そのタイミングでの独立も考えたんですが、自分でも実力不足感は認識していて、「今、独立してもうまくいかなそうだな」と転職しました。単純に自信がなかったんでしょうね。

碓井:どこに転職したんですか?

小屋:独立を見据えて選んだのは不動産業界でした。株のことは小さい頃から大好きだったので、独学でさらに学んでいけるだろうと。でも、お金持ちになるという視点では不動産での資産形成も大事そうですよね。だから、その勉強をしっかりしてみたいと考えて、不動産会社に転職したんです。
それも中小企業のオーナーになりたかったから、なるべく小規模で、社長の仕事を毎日近くで見ながら働ける環境を探しました。新卒で入ったリース会社は600人規模で、社長の顔を年に1回見るか見ないかだったので、経営者の仕事のイメージも湧かなかったんですよね。
でも、転職した不動産会社はベンチャーで、東京事務所でも10人ほど。社長の席もすぐ側で、仕事をしながら不動産と社長業を勉強させてもらいました。めちゃくちゃ忙しくて、毎日0時回るくらいまで仕事をしていたけど、20代後半で体力はあるし、楽しさのほうが大きかったですね。

碓井:そのままこの会社で出世して……とは考えなかったんですか?

小屋:オーナー企業だったから、そこでは社長になれませんからね。それで、30歳になる直前に「31歳で独立しよう」と決めたんです。そこからコンサルタントの大前研一さんがやっていた独立起業希望者向けのビジネススクールに通って準備を始め、会社に退職の意志を伝えました。
ただ、その時点でもまだFPとは決めてなかったんですよね。どんな事業をしようかよりも、とにかく辞めないと会社を作れないから、と5月に退社したんだけど、8月まで前職の不動産の仕事を手伝って。その間に何の仕事で独立するか考えていました。

碓井:そこからどういう流れで、FPが浮かんできたんですか?

小屋:さっきも言ったように株は小さい頃から好きだったんですよ。社会人1年目から給料が出たら株を買っていて、自分なりに勉強もしていました。加えて、前職で不動産を勉強させてもらって、「世の中にはこんなに不動産投資をする人たちがいるんだ」と知ったのと同時に、「みんな、あまり深く考えずに投資をしているんだな」ということも感じたんですね。
「だったら、世の中の人にいる、あんまり詳しくないけど投資をしたい人」に株式や不動産投資のアドバイスしていくような仕事が、自分のスキル的にできるのではないかと思ったんです。
そして、その仕事をする上でジャンルが一番近そうだったのが、FPでした。そう思い立ったのが9月で、マネーライフプランニング(以下、MLP)を作ったのは2008年11月です。

 

FPは相談してくれる人の人生に深く携わっていく仕事
だからこそ、ファイナンスの視点を持ち、アドバイスをしていきたい

碓井:私がMLPに入って「あれ?」と思ったのは、商品を販売しないことでした。一般的には、FPの人というと、保険会社や金融機関の窓口にいて保険や金融商品を勧めてくるというイメージがあります。どうして小屋さんは、商品を販売しないFPとしてやっているんですか?

小屋:そもそも僕が仕事としてやりたかったのは、株式や不動産投資のアドバイスだったんですよね。そのための職種としてFPを選んだので、最初から保険や金融商品をセールスする気がありませんでした。ただ、独立当時、先輩のFPから「アドバイスだけで純粋に売上や収益を上げているFPは、まだ日本にほとんどいないから、アドバイス料、金融証券仲介料、保険販売手数料、この3つをブレンドしていきなさい」と教わったんですね。
しかも、親切に金融商品仲介の会社、保険代理店も紹介してくれたので、形としては証券仲介人、保険募集人、資産運用のアドバイザーの3つの機能を持って仕事をはじめました。
とはいえ、僕個人は金融を学ぶなかで、「保険は手数料が高くて無駄が多い、金融商品にしてもネット証券での売買がローコストで最適」と結論づけてきた人間です。相談にやってきた人たちに、自分なりにベストだと思っていることと別のアドバイスはできませんよね。
だから、「株式投資など金融商品の運用はネット証券を使い、手数料をローコストに抑えましょう」「保険は無駄が多いからなるべく買わないようにしましょう。どうしても入らなきゃいけないときは、本当にローコストなものを選びましょう」と言うわけです。
そうすると、代理人、紹介人として売る保険、金融商品がないんですよね。むしろ、相談者の話を聞いて、「無駄な保険にいっぱい入っているからやめましょう」というアドバイスになっていく。セールスする機能はあっても、ほとんど売る機会がなく、売上は立ちませんでした。

碓井:そういう経緯なんですね。私は本当に入社するまで、一般の人の思うFP以上のイメージを知らずにきたので、不思議だったんです。では、商品を勧めない、売らない小屋さんが思うFPはどんな存在ですか?

小屋:言葉としては、ファイナンシャルなことをプランナーしていくという意味合いしかないですよね。保険のセールスの人も、銀行、証券の人も、違う分野の人も「ファイナンシャル・プランナーだ」と名乗れば、資格があってもなくても、お客さんのファイナンシャルなことをプランニングしていく仕事を始めることができます。
でも、その仕事は相談してくれる人の人生に深く携わっていくものです。プランを立て、提案する以上は、ファイナンスの視点を持っていてほしい。ただ、残念ながら現状のFP業界を見てみると、しっかりとファイナンス的な考え方をして、分析をし、アドバイスやセールスができている人は1割ほどじゃないかと思います。

碓井:ファイナンスの視点というのは?

小屋:僕は大学のゼミで以前、この対談にも出ていただいた吉野直行さんからファイナンスには3つあると教わりました。
1つ目は、国のファイナンス。財政ですね。2つ目は、コーポレート・ファイナンス。企業のお金を考える仕組み。3つ目が、FPの扱う個人の家計、パーソナル・ファイナンスです。
今、僕が話しているファイナンス視点は、2つ目のコーポレート・ファイナンスで学び、身につけるべき素養。難しいことではなく、コーポレート・ファイナンスの入門書には必ず書いてある、「バランスシート(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書の財務三表を読み、5年後、10年後、さらにその先に向けた長期的な視点で企業の経営計画を立てましょう」という話です。
ですから、ここで言うファイナンス視点は、相談者の方にアドバイスするとき、相手の価値観をしっかりと理解しながらも、長期的なスパンで資産などの数字をしっかりと分析することです。

碓井:たとえば?

小屋:そうですね。たとえば、「マイホームを買いたい」と相談にやってきた方がいたとしましょう。ここで相手の話は聞き流し、自分の手数料収入が増える住宅ローンを紹介するFPは、ファイナンス視点ゼロです。

碓井:たしかに、そうですね。

小屋:少なくとも家を購入すること、住宅ローンを組むことで相談者の家計にどんな影響が出るのか、それが将来に向けた資産形成に対してどんなメリット、デメリットがあるのかを分析し、アドバイスするべきです。
そのとき数字の面をきっちり見ていくのがファイナンス視点。その結果、「賃貸をお勧めします」となることもあるでしょう。

碓井:持ち家にこだわるよりも賃貸のほうが資産形成には有利ですよ、というアドバイスですね。

小屋:それはそれで正しい意見です。ただ、個人へのアドバイスはファイナンスの視点だけで判断できるものではありません。
相談者の方が「私にとってマイホームを持つことは長年の夢でした」「自分の家があることで幸せを感じます」「人生が充実します」と言うなら、その想いの後押しをするのがFPの仕事ですからね。ただし、そのときにファイナンス視点で見たときのデメリット、発生しそうなリスクを相手に伝え、その対策もいっしょに考えていくアドバイザーでいること。これが僕の思うFPの姿です。

後編へつづく

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