【対談】寺澤さんご夫妻に聞いた、FIRE達成までの裏話。お金の貯め方、働き方について – 後編 【対談】寺澤さんご夫妻に聞いた、FIRE達成までの裏話。お金の貯め方、働き方について – 後編

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【対談】寺澤さんご夫妻に聞いた、FIRE達成までの裏話。お金の貯め方、働き方について – 後編


UPDATE 2023.12.01

【対談】寺澤さんご夫妻に聞いた、FIRE達成までの裏話。お金の貯め方、働き方について - 後編

 

わたし、もう会社員じゃなくてもいいんじゃない?

小屋前編では伸洋さんの転職後の4年間で資産が1億円を超え、FIREへ……という流れをうかがってきたわけですが、真奈美さんは一足先にファイナンシャルプランナーとして独立していますよね。その経緯も教えてくれますか?

寺澤真奈美さん(以下、真奈美)2016年に、格安SIMと通信費の見直しに詳しいファイナンシャルプランナーとして独立しました。最初の就職は保険会社の営業職、結婚前から第一子の出産直後までがコールセンターのスーパーバイザー。その仕事を先ほど話した理由で退職し、その後は子ども中心、夫中心という感じで。パートや派遣社員、損保会社の正社員、とその時々にできる形で働いていました。
それがファイナンシャルプランナーとして独立しようという決断に向かったのは、夫の転勤に合わせて大阪に行ったのがきっかけです。
環境がガラッと変わって、知り合いもいない。仕事は続けているけれど、わたしはいつも子どもや夫に軸を合わせている気がするな……と考え始めたところに、ストレングスファインダー(※)について書いている人のブログに出会って、読み始めたら、なにこれおもしろそう! と。

※ストレングスファインダー
米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツール。真奈美さんはファイナンシャルプランナーとしてだけでなく、ストレングスファインダーの認定コーチとして、クライアントの強みを活かしていくためのコーチングも行っている。

寺澤伸洋さん(以下、伸洋)即行動で、勉強会に申し込んでいたよね?

真奈美わたしは公的な資格取得につながらない、単なる勉強会に足を運んだことがそれまで一度もなかったんですね。行ったらバッチを得られるわけでもない場所にお金を払ったのは初めてでした。
でも、そのストレングスファインダーで自分の強みとして出てきた項目を見たとき、「わたし、もう会社員じゃなくてもいいんじゃない?」と思っちゃったんですよね。

真奈美さんの話している様子

伸洋ストレングスファインダーの勉強会で知り合った人たちといっしょに勝間和代さんの勝間塾にも入って、一気に独立に向かっていった感じだよね。

真奈美大阪生活の最後の1年間が本当に楽しいものになっていって。彼にも会社以外の人とのつながりを経験してもらいたいと思って、だいぶ誘ったんですよ。でも、怪しがってなかなか(笑)。

伸洋僕の30代は、本当に会社と家の往復だけの生活だったんです。働いていた記憶しかない。だから、妻が楽しそうにしているのは喜びつつも、気が向かなかったんですね。
でも、転職するかも……となったとき、勝間塾のゲーム大会に連れて行ってもらって、人狼ゲームやボードゲームをしながらいろんな働き方をしている人たちに会って、めちゃめちゃ刺激を受けたんです。

真奈美この年になっても新しく友だちってできるんだ!って言っていた気がします。

小屋それが39歳とか、40歳。

伸洋そうですね。しかも、勝間塾で会う人は基本、自分で稼げるようになろうぜって考えの人たち。ところが30代の僕はもう根っからの会社員で。朝、職場に行って席に座り、17時半には家に帰る。それで1年に何百万かの給料がもらえるならいいじゃないか、そこで60歳まで勤め上げて退職金をもらって……そういうマインドが社外の人と知り合ううちに徐々に変わっていって、転職して数年で一気に加速した感じです。
会社を辞めていいんだ、定年前にFIREしてもいいんだ、本を書いてもいいんだ、もっと上を目指してもいいんだ、今いる場所で満足しなくてもいいんだ、って。

 

お金をどう使っていくかは、これからの2人の課題かもしれません

小屋FIRE後の仕事観、お金観は変わりましたか?

伸洋僕は40歳過ぎでFIREを知って、そのコンセプトに惹かれていったんですけど、「主に資産運用から得られる運用益をもとに、生活支出を最小にして生きていく」という手法には魅力を感じませんでした。
実際、退職を決める前に妻と試算したところ、1億円の資産があっても夫婦ともに収入がなければ、どう節制しても60代前半ですべて食い潰してしまうことがわかりました。いくら質素に生活しても破綻するなら、そんなFIREは本末転倒です。
僕が思い描いているFIREの「RE」はアーリーリタイヤではなく、リスタートもしくはリボーンの「RE」。人生を再スタートさせよう、という意味合いで捉えています。自分の好きなこと、強みのあることで仕事は続けていくイメージですね。
だから、僕が個人事業主になったときの屋号は「チェンジマインド」と付けました。僕自身のマインドブロックがなくなったように、僕の本を読んだ人のマインドが変わってくれたらこんなにうれしいことはないなと思って。

伸洋さんの話している様子

小屋前半に詳しく聞きましたけど、寺澤夫妻は一般家庭に比べると圧倒的に節約がうまい家計を維持してきたと思います。会社を辞めて独立してから、お金の使い方は変わりました?
うちのクライアントさんで言うと、60代、70代になって十分な資産を持っているけど、人生を前向きに楽しむためのお金がうまく使えていないという課題があります。お二人はまだその年代ではないですけど、将来に向けてはどう考えていますか?

伸洋お金の使い方にはリハビリがいると思います。正直に言うと、僕は今も特に贅沢したいと思わないですし、食べ物にも旅行にもあんまり興味がないんですよね。ずっと家にいてもいいタイプ。
1つこだわりがあるのは、人と会うこと。ただその場所はオンラインでも、カフェでコーヒー飲みながらでもいい。お金が貯まったからホテルのラウンジや料亭で……という感覚にはいまだにならないです。安いからといって若者が騒いでいるようなにぎやかすぎるお店に入るのはやめようかな、と考えるくらいで価値観は変わっていないんですよね。

真奈美わたしは上の子が大学入ったのがすごく大きなきっかけで、子育てが一段落した感覚があります。
資産を増やすために節制するフェーズから、仕事もしながら運用もしながら、マイナス家計にならない範囲で使っていくフェーズに入ったと思っています。元々欲しいものがたくさんあるタイプなので、家も欲しいし、クルマも欲しいし。2人でよく相談して使っていきたいですね。

真奈美さんの話している様子

伸洋結局、お金をどう使うかは、自分が何を好きかにつながっていると思うんです。
自分の興味関心や、何に幸せを感じるかを自分自身がちゃんと知るべきで、そのステップを踏まないで使ってしまうのは違うと思うんですよね。
僕は朝起きて、本を書いて、人と会うという1日にすごく充実感を感じています。書くことに仕事感はなくて、楽しいんですよ。たまたまこの生活には、カフェ代や居酒屋代くらいしかお金がかからないけど、それで十分幸せなんですよね。

真奈美あまりにも夫がお金を使わないので、この間「DIE WITH ZERO」(ダイヤモンド社)という本を夫婦で読んで「お金をずっと持ち続ける必要はあるの?」という感じの話をしたよね。

伸洋たしかに1億円抱いていても、お墓には持っていけないですからね。使い方はこれから2人で考えていく課題かもしれないですね。

 

ファイナンシャルプランナー向けのVoicy「独立FPラジオ」始まります!

小屋最後にお知らせを。今度、僕は真奈美さんといっしょにVoicyで「独立FPラジオ」というチャンネルを配信する予定です。こんな内容を話そうというイメージはありますか?

真奈美ファイナンシャルプランナーと、ファイナンシャルプランナーを目指す人向けということで、実践的な内容にしたいですね。数多くいるファイナンシャルプランナーの中で独立系でやっていくには、自分が何に強いFPかをしっかり押し出す必要があると思うので。

真奈美さんの話している様子

小屋そうですね。FPとしてアドバイスしてお客さんにどんな付加価値を生み出しているのか。そこを明確に言える人は少ないと思います。

真奈美コーチングとも少し被る部分があるんですけど、クライアントさんに寄り添いながら徐々に効果が出てくる面と、すぐに効果が出る速効性のあるアドバイスを求められる面の両立が必要ですよね。

小屋そのあたりを僕らがなるべく言語化して、分かりやすく伝えられるといいですよね。

真奈美ですね。

お知らせ:
小屋洋一/寺澤真奈美 独立FPラジオ、11月29日に公開しました。

https://voicy.jp/channel/4262

独立系のファイナンシャルプランナーを目指している方へ。独立FPの仕事、ビジネスモデル、資産作り、集客、自営業者の悩み事、相談事例、家庭あるあるなど。ひとつでも興味がある方は、お気軽にフォローください。
第1回目は「 2人はなぜ独立FPになったの? 」
ぜひ聞いてみてください。

 

対談者プロフィール

  • 寺澤伸洋

    寺澤伸洋(てらさわ・のぶひろ)

    ビジネス書作家 / 講演家

    灘高校、東京大学経済学部卒業後、日系企業、外資系企業勤務を経て2021年に作家として独立。『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』(KADOKAWA)、『自分の強みを引き出す4分割ノート術』(世界文化社)、『子どもを2人育てながら1億円貯めた夫婦の40代FIREまでの道のり』(Amazon KDP)など著書多数。

    <オフィシャルサイト・SNS>

  • 寺澤真奈美

    寺澤真奈美(てらさわ・まなみ)

    ファイナンシャルプランナー / 通信費見直しアドバイザー / Gallup認定ストレングスコーチ

    生命保険会社の営業、テレマーケティング会社にて新規コールセンターの立ち上げ後、損害保険会社の情報システム部や会計経理部門を経て、2017年保険や金融商品を取り扱わない独立系ファイナンシャルプランナーとなる。「お金の面だけでなく、その人の人生を心の面からも豊かにするお手伝いをしたい」と感じ、コーチングを学ぶ。2020年米国ギャラップ社ストレングスコーチ®を取得。

    <オフィシャルサイト・SNS>

  • 小屋 洋一 (聞き手)

    小屋 洋一(聞き手)

    株式会社マネーライフプランニング(公式サイト) 代表取締役

    1977年宮崎県生まれ、東京育ち。2001年慶應義塾大学経済学部を卒業し、総合リース会社に入社。中小企業融資を担当した後、
    2004年不動産流通業を行うベンチャー企業に転職。営業、営業企画等を経験し、2008年に退職。
    同年にAFPを取得後、独立し、個人富裕層のアドバイスに特化した株式会社マネーライフプランニングを設立。
    2010年にCFP®を取得し、現在に至る。

    <所属・関連団体>

    <SNS>

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