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資産運用の考え方

02_資産を分散させる

リスク分散のための4つのシナリオ

資産運用を行う大きな理由の一つには「リスク分散」があります。

資産は大きく「債券」と「株式」に分けられます。
また通貨で考えると、大きく国内の「円建て資産」と海外の「外貨建て資産」の2種類があります。
したがって、運用の分野では大きく「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」の4種類の資産があると考えて良いと思います。

現在の平均的な日本人の金融資産は、8割近くが銀行預金と保険・年金に偏っているという、非常にいびつな資産構成になっています。
銀行も保険会社も金融資産の特徴としては、「確定利回り」で「円建て」である事が多いので日本債券に近い特徴を持っています。

年代別にみた金融商品保有額の種類別構成比

銀行や保険商品は「インフレ」に弱いのですが、もうひとつ「円安」に弱い資産構成(ポートフォリオ)になっています。
今後の経済環境を考えたときに下記の4つのシナリオが考えられます。
①インフレ・円高シナリオ
②デフレ・円高シナリオ
③インフレ・円安シナリオ
④デフレ・円安シナリオ
この経済シナリオごとに保有して有利になる資産は異なります。

4つのシナリオ

もしも、あなたが「預金」「保険」しか保有していないとすれば、②のシナリオが到来するのを望むしかないでしょう。
他の①、③、④のシナリオが実現した場合には、保有資産は毀損していくからです。

「リスク分散」とは、上記のどのシナリオが実現したときにも大丈夫な資産構成(ポートフォリオ)を組むことにあります。

もっと分かりやすく言えば、
「どのシナリオが実現したときでも対応できるように全ての資産を保有しておく」ことが標準的な戦略なのです。
つまり標準的なポートフォリオとしてはこうなります。

リスク分散の標準的なポートフォリオ

これに対して、日本人の個人金融資産のうち外貨資産の保有割合は約3%程度というのが現状で、非常に偏ったポートフォリオになっていると言わざるを得ません。

家計の外貨建資産

このことからも、日本人は無意識的に円高シナリオに一点張りであることがわかります。
それでも「円預金」から離れられない人も多いと思うので、一つの例をお伝えします。

2008年のアイスランドでも、個人は現金を保有する人々が少なくありませんでした。
しかし、金融危機によって「現金」を保有していた人々は、その価値が30%程度に減少してしまったのです。

アイスランド・クローナ円為替レート

「円が危ない」と声高に言うつもりはありませんが、リスク管理という視点では、円建て資産しか保有しないというのは、円高・デフレという状況以外では資産が毀損する可能性のあるリスクが高い状態なのです。

①インフレ・円高シナリオ
②デフレ・円高シナリオ
③インフレ・円安シナリオ
④デフレ・円安シナリオ

この4つのシナリオのうちどれが実現するかを予測するのは、経済評論家(予想家)の仕事であり、私たちは、専門家としてどのシナリオが到来するのかを予測するのではありません。
しかし、資産をバランスよく分散させることで、より保守的にどのシナリオが到来してもあなたの資産が保全できるようにすることができるのです。