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マネープランの作成ステップ

資産状況分析の4つのポイント

キャッシュフロー表とバランスシートが把握できたら、いよいよ「資産状況の分析」です。
この分析においては、特に重要なポイントが4つあります。

<資産状況分析の4つのポイント>

①純資産がマイナスになっていないか?

②マイホームを購入するのか?

③40代後半~50代前半は大丈夫か?

④老後の生活費は大丈夫か?

①純資産がマイナスになっていないか?

純資産がマイナスになっていたら、資産よりも負債が多い「債務超過」の状態です。
よくあるケースとして、新築の不動産をローンで購入した場合。
不動産価格の時価評価額の下落が、住宅ローンの返済額を上回ると、債務超過に陥ります。
新築は値崩れが激しいケースが多いため、よく見られるケースです。

②マイホームを購入するのか?

マイホームの購入は人生において、きわめて大きなターニングポイントです。
多くの人は30代前後でその時期が訪れるのではないでしょうか。

マイホームを購入するつもりであれば、あなたと家族のマネープランと向き合いながら、
時期や金額を考える必要があります。
現在の状況だけで判断せず、将来まで視野に入れて、身の丈にあった住宅ローンを組んでください。

また、住宅を購入する場合、購入後の費用として、税金(固定資産税、都市計画税)や
修繕費(マンションの場合には管理費、修繕積立金)などのコストも、正しく計算しておくことです。
いずれも無視できない金額になります。

あなたが「住宅は賃貸で十分」という考え方なら、そこまで神経質になることはありません。
マネープランに合わせて、設定を変更できます。

子供が小さいときには広い部屋を借り、子供が自立したら夫婦で小さなところへ
引っ越すといった具合に、さまざまな選択肢が考えられます。
それに賃貸で暮らしていると、「災害」の影響を受けづらくなります。

災害に巻き込まれて家が壊れたり、土地の価値が暴落した場合、持ち主はその影響をまともに受けます。
保険で埋め合わせできればよいのですが、充分な額が支払わなければ、資産が大きく目減りします。
いつでも引っ越しできる借家なら、そうした不安がないわけです。

③40代後半~50代前半は大丈夫か?

30歳前後で子供が産まれると、大体40代後半~50代前半で子どもたちが高校・大学に進学します。
つまり教育費支出のピークです。

マネープランを作成する際、この時期はほとんどの世帯で、支出が収入を上回ります。
教育費のために、貯蓄を取り崩す必要が出てくるわけです。
今では子供を育てることは、とてもお金がかかりますからね。

見方を変えれば、あなたがお金を貯められるのは、子どもが小さいときだけです。
小学校を卒業するまでの12年間で、ある程度の資産を貯めないと、数年後に家計がひっ迫し始めてしますでしょう。

親世代のころは、子どもの成長とともに給料も上がりました。
教育費を貯め込んでいなくても、なんとか教育費を捻出できたのです。

しかし、今後は勤続年数が増えるだけでは、たいした上昇が期待できません。
今のうちに「子どもが小さいうちに、どの程度まで貯められるのか?」を検討してください。
それが子どもの将来を左右することにもなります。

④老後の生活費は大丈夫か?

まだ30代~40代の方にとっては、老後の生活は想像できないかもしれません。
空想まじりでもいいので、少し考えてみてください。
ここで考えるポイントは大きく3つあります。


<老後の生活費を考えるポイント>
・いくつで退職するか?
・いくら年金がもらえるのか?
・いくら相続でもらえるのか?

現在の日本社会では60~65歳が、一般的な退職時期です。
老後の年金支給は65歳からですので、リタイアを65歳以前に設定すると、
65歳までの生活費を考えておかないといけません。

早くリタイアするつもりならば、それだけで資産を用意しないといけないのです。
しかも、今後は年金の支給年齢が70歳に引き上げられる恐れがあります。
あなたが60歳でリタイアしたら、年金がもらえるまでの10年間は無給です。

リタイア年齢を決めるときはそこまで考慮する必要があるのです。
よほど大きな制度改革が行われないかぎり、まず、現在の高齢者と同程度の年金額を、私たちの世代は受け取れないと言っていいでしょう。