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ご相談事例

相談事例_08相続対策

不動産相続と活用

今回ご紹介させていただくのはWさん(50代後半)。
不動産相続と活用に関する事例になります。

当初のご相談としては、通常のライフプランや資産運用に関する内容でした。

そこで、実際に資産運用を行っていくにあたって、まずは現段階での生活状況や将来の予測をベースに株式や債券の運用ポートフォリオを検討していきました。

また、これらを検討していく中で弊社と顧問契約を締結しました。

不動産相続について

当初のご相談内容の1つとして「父親が所有している不動産における相続に関して心配な点がある。」と話をしていたこともあり、それらの相続対策について、近いうちにご両親と一緒に検討し対応していく必要がありました。

しかし、一身上の都合もあり、父親が生きている間に相続対策を行うことが難しい状況でした。

そのため、それらの遺産分割や相続税の支払いについて、実際に検討していくことなったのは、顧問契約締結から数年後、Wさんから「父が亡くなった」とご連絡を頂いたところからとなりました。

相続対策とは本来、資産を保有する本人(今回の場合は父親)が生きている間に実施するもので、ご本人が亡くなられた後となると、できることはほとんどありません。
しかし今回の場合、相続財産に不動産が多かったこともあり、弊社にて各不動産の評価の部分において改めて調査を行ったところ、一部改善の余地があることがわかりました。

詳細としては、続税申告書の相続財産評価の部分において、本来よりも高く評価されている可能性があるこということが分かりました。

そのため、改めてWさんに不動産鑑定士に鑑定依頼をすることを提案し、実際にWさんから不動産鑑定士に相談を行ってもらったところ、予想通り「いくつかの不動産においては評価が下げられると思う」という意見をいただきました。

その後、鑑定評価を取得申請したところ、無事に評価を下げることができました。

貯蓄残高推移

結果、不動産評価の部分において、見直しを行ったことで500万円もの納税額削減につながりました。

不動産の活用について

続いては、相続した不動産をどのように活用していくのか。
その活用方法ついて、Wさんと一緒に検討していきました。

対象となる不動産について
・明治の初期の商家
・広さ 280坪
・登録文化財指定(一部)
・維持管理が大変(お金がかかる)

貯蓄残高推移

Wさんの希望としては、代々受け継いできた立派な住居を「この先100年、活用できるようにしていきたい」ということがありました。

その一方で、今回の物件の維持経費に関して、一部が登録文化財として指定されていることもあり、年間200万円程の支出が必要になります。さらに、不動産維持のための修繕を行うことも考えると金銭的なハードルが高くどうしたらよいのか悩んでいました。

このような問題に対して、弊社からは「不動産利用」を提案しました。
立派な住居をうまく活用していくことで、維持経費を捻出できないかと考えたからです。

その上での具体案について、Wさんと一緒に検討したところ、2つの候補が挙がりました。

  • 商業テナントの誘致
  • 撮影スタジオとして利用

1については、入居希望はありましたが、明治期の住居をテナントとして貸し出すといった場合に、入居環境(電気配線、水回り、キッチン部分など)を整備を行う必要があるため、ある程度の初期費用が必要になります。

それに比べて、2は、初期費用がほとんどかからないといったことから、「撮影スタジオ」の案で検討していくことに決まりました。

その他、「この先100年、活用できるようにしていきたい」という目標もあるため、永続的に所有ができるように新たに法人を設立し、それを法人に売却することにしました。

そのため、今後収入が発生した場合は、法人として資金管理を行い、それらを中長期的な修繕として利用していく事にしました。

現在は実際にスタジオとしての運用を開始しており、今後も「この先100年活用していけるよう」Wさんと一緒に都度対策を考えていきます。

まとめ

今回の事例でご紹介した内容は、大きく分けて2つあります。

  • 不動産相続について

    不動産評価の部分においては、税理士の方でも不慣れであるケースがあるため、特に不動産資産が多い場合においては、評価の見直しを不動産鑑定士に相談をしつつ積極的に行うことで、納税金額を削減できる場合がある(今回のケースでは納税額に約500万円の差が出ました)ということ。

  • 不動産の活用について

    特に長期的な運用を想定している場合は、法人を設立し、個人ではなく法人として資金管理を行っていくことで所得税を抑えることができるということ。

今後、不動産相続・活用を予定している方は、これらのことも踏まえつつ検討してみてはいかがでしょうか。